アイと知り合った後、ふと、ユーコのことを思い出した

アイと少し似た雰囲気を持っていた子


大学受験の予備校の友達

ユーコは同い年

高校を中退して、大検をうけて大学受験をするという

予備校のベランダの喫煙所で出会った

茶髪でパーマをあてている

同い年にしては落ち着いた雰囲気

彼女は高校の時、仲の良い女友達を亡くしている

それが原因で登校できなくなり、結局高校を中退した

その友達が目指していた大学に入るために予備校に通っているという


彼女は当時一人暮らし

18で一人暮らし?と思ったが、聞くと父親との折り合いが悪いらしい

父親は有名な大学の教授

娘に対して厳しく、それが嫌で一人暮らしをしてるらしい

ユーコは予備校仲間の中で話題の中心になることはなく、端っこでニコニコ笑っているタイプ


ある時、知り合いの女子からユーコが私のことが好きであると教えてもらう

ユーコのことは何とも思っていなかったが、性欲に勝てない10代の私はユーコの部屋に遊びに行くことになった


ユーコの部屋に入る

部屋は整然としている

何か無機質なイメージを抱く

布団とテレビ、灰皿…パッと見それぐらいしか目に入ってこない

何もない部屋

ユーコは親から必要最低限の仕送りしか受けていないらしい


会話もそこそこに、私はユーコにキスをする

別に付き合っている訳ではない

ユーコは嫌がらない

ユーコの布団で、慣れない手つきでユーコに触る

セックスをする


布団の上で、裸の二人は天井を見つめる

ユーコはむくりと起き上がり、タバコに火をつける

ユーコがポツリとつぶやく


 私さ、レイプされたことあるんだよね


一瞬何を言っているのか分からなかった

頭が真っ白になる

私もまだ18歳

どんな反応をすれば良いのか分からない

ユーコは、そのまま自分に起きた出来事を人ごとのように話し出す

高校から帰る途中、車に乗った二人組に声を掛けられた

無視を続けていたら、突然車から降りてきて車の中に無理矢理連れ込まれて…

淡々と話す

そのことはユーコの父親も知っていて、二人の関係が悪化した原因だという

時折笑顔にも似た表情も見せる

ユーコは自分の身の上に起きた悲劇を聞いてほしかっただけなのか話し続ける


今の私であれば色々な反応や対応ができたと思う

でも、18歳のガキ、頭の中は半分パニックだ

聞いているうちに、段々と聞くことが嫌になってくる、うんざりしてくる…


私はユーコに最低な一言を投げ掛ける

 もう、そんなこと忘れちまえよ

一瞬時が止まる

ユーコの顔が真顔になる

次の瞬間、

 出てけっ!

怒声とともに灰皿を投げ付ける

壁にぶつかった灰皿は床に落ち、吸い殻が散らばる

私が言い訳をしようとすると、その言葉を遮って罵声を浴びせる

私はどうすることもできず、部屋を出た


それ以降、予備校でも彼女には会っていない

どうするのが正解だったのか分からない

今だに思い出す


アイと知り合った後、なぜかそのトラウマが蘇る