今日は全国的に大雨で心配ですね…。

高知県に線状降水帯発生のニュースも出てましたし、何事もなく過ぎ去ってくれるといいですけど😖



話はコロッと変わりますけど、最近、『幻の室内装飾-明治宮殿の再現を試みる』の記事へのアクセス数が多いのでちょっと読み返してみたんですけど、なかなか恥ずかしい記事ですね。適当すぎて😅



『皇室の名品』展の記事の“宮殿装飾”の項の部分と『幻の室内装飾ー明治宮殿の再現を試みる』の展示品がダブってることに気づいたり。

そんなワケで、もうちょっと違うことを記事にしてみようかと。



という挨拶文もフムフムと思いまして。


挿図 明治宮殿正殿 個人蔵


亀井茲明伯爵が撮影したと伝わる明治宮殿の正殿の写真。

これこそ、この図録の一番の見どころと思いながら、前の記事では載せてなかった。

きっとこれが現在、確認されている中で最古の明治宮殿の室内写真ではないかと。

大正時代に撮影された正殿の写真とは全然違う内装なのでビックリします😲


明治宮殿 正殿


亀井茲明伯爵が撮影したと伝わる写真と違って、カーペットも燭台をグルリと囲むように丸く置かれた椅子もありません。

前に明治時代に撮影されたと思われる千種の間や東溜の間・西溜の間の写真を紹介しましたが、時代によって内装が全然違うっていうのも面白いですね😀




巻末の“明治宮殿に思いを寄せてー当時を知る人々の記述から”というのを読んで、メアリー・フレイザー夫人のいう、千種の間のドアも確かに素敵だな〜と思いました。



兎と竹の彫刻に高蒔絵を施したものだそうですね。

写真だと白黒なので分かりづらいですけど、絵図を見ると、なかなか素敵です。  



〔千種の間〕建具絵図


種類も何パターンかあって、どれも可愛い😍 



〔千種の間〕建具絵図


〔千種の間〕建具絵図


明治宮殿 千種の間


表宮殿で最も華やかな広間が千種の間。



濤川惣助の七宝唐花文花盛器や七宝会社の七宝藍地花鳥図花瓶が置かれてるのが分かります。



ちゃんと専用の蒔絵の台に置かれていますね。


七宝唐花文花盛器 濤川惣助 明治22年(1889)


蒔絵の台に載せた姿


あと千種の間の壁に貼られた裂は…。


牡丹唐草模様壁張裂

黄味の強い茶色の裂だったようです。



薔薇模様緞帳裂



〔千種の間〕緞帳絵図


薔薇模様の緞帳裂に白茶色のレースを合わせていたみたいですね。ちなみにレースは蔦模様だそうで。


〔千種の間〕折上格天井に嵌められた綴錦の絵図


メアリー・フレイザー夫人の仰るとおり、広間の名前にもなっている綴錦で織られた花の絵も美しいです。


〔千種の間〕腰羽目絵図


美しいといえば腰羽目に貼られた繻子地に野菜や果物の刺繍が施された裂も。



〔千種の間〕欄間絵図


〔牡丹の間〕〔竹の間〕の仕切りの欄間は鮮やかな緑色に塗られていたんですね〜。


〔千種の間〕釘隠絵図


〔千種の間〕および〔牡丹の間〕〔竹の間〕の釘隠は濤川惣助製作の七宝製だったそうで。こういうところもスゴいですね。


〔千種の間〕七宝製の尾長鶏の置物の絵図


〔千種の間〕七宝製の尾長鶏の置物の絵図


濤川惣助といえば、七宝製の尾長鶏の置物も興味深いです。


七宝製尾長鶏の写真


七宝製尾長鶏の写真


白黒写真だけではよく分からないですけど、素晴らしい品だったんだろうな〜と。


明治宮殿 千種の間 大正11年4月撮影

来日された英国皇太子(後のエドワード8世)の接遇のための飾り付け、家具配置を記録したもの


上の写真だと西側の扉の前に置かれているのが分かります。


それから、可愛いといえば、牡丹の間の狆の置物も可愛らしいです。



明治宮殿 牡丹の間



大理石の台の上に高村光雲型を製作した銅製の狆の置物が飾られているのが室内写真からも分かります。

戦争で焼失してしまったなんて残念ショボーン



こちらの絵図も可愛らしい。実物が残っていてほしかったですね〜。


薔薇模様壁張裂 明治21年(1888)


牡丹の間といえば、テキスタイルもスゴく自分の好みだな〜と思うんですよね。



白黒写真だと分かりづらいですけど、緞帳の色柄も好きな感じ。


秋草模様緞帳裂 明治21年(1888)


薔薇模様小壁張裂 明治21年(1888)



折り上げ格天井の牡丹や垣と鉄線の絵も良い感じ。

この広間が一番、自分好みな気がします?


明治宮殿 桐の間


あと、装飾品としては桐の間の銀製花瓶とか…。


百鶴図花瓶 加納夏雄 明治23年(1890) 一対 銀・彫金



桐の間専用の装飾品として使用された彫金が見事な銀花瓶。写真では暖炉の上に置かれてるのが分かります。





専用の菊花形の台の上に置かれてたそうです。


明治宮殿 西ニの間


工芸品としては、西の間におかれていた紫檀製の書棚も素敵だな〜と思いました。


紫檀書棚 堀田瑞松 明治24年(1891) 一対 紫檀・彫刻



引戸や開戸に山水楼閣や花瓶に活けられた四君子を浮き彫りで表しているそうです。




とてもシックな一品ですね。


唐花模様緞帳裂 明治21年(1888)


テキスタイルもシックな感じで雰囲気がありそう。


菊花形燭台 鈴木長吉 明治27年(1894) 一対 真鍮、鋳造・鍍金 


鳳凰の間や桐の間の燭台はヨーロッパからの輸入品だけど、西の間は日本製の燭台なんですね。これはこれでとっても素敵だと思います。


竹塗秋草に雀刺繍衝立 明治26年(1893) 1基 竹塗、蒔絵


素敵といえば、西の間の暖炉前装飾としつ作られた刺繍の衝立も。表裏の両面刺繍に縁も竹のように見える漆塗りというのが素晴らしい。


明治宮殿 西溜の間


そういえば西溜の間も忘れてはいけません。


唐花唐草文象嵌花盛器 金沢銅器会社 明治24年(1891) 銅・象嵌



ソファとソファの間に置物台を置いて、その上に花器を6個置いてあるのが分かります。


貝尽模様緞帳裂 明治21年(1888)


七宝蜀江模様壁張裂 明治21年(1888)


西溜の間の壁は珊瑚朱色で壁張裂は蜀江錦の模様を意識した緞子で、緞帳裂は流水に貝、流水に桜という日本的な模様を西洋風にアレンジしたもの。

これも味わいがあって良いです〜。 



明治宮殿 西溜の間 大正11年4月撮影 

来日された英国皇太子(後のエドワード8世)の接遇のための飾り付け、家具配置を記録したもの


この図録の巻末にも収録されている河鰭実英さんの『明治宮殿の思出』の中で伊藤若冲の絵が飾られていたという件がありますが、確かに上の写真では広間の奥の壁に2幅、掛けられてるのが確認できますね。


群鶏図 伊藤若冲


大鶏雌雄図 伊藤若冲


あと『皇室の名品ー近代美術の粋』の記事でも書きましたが、南溜の間に飾られていたという色絵金彩菊貼付香炉も素晴らしいなと。


明治宮殿 南溜の間


色絵金彩菊貼付香炉 沈寿官 明治26年(1893) 陶磁



竹籠をイメージした香炉に金彩と色絵を施した無数の菊花で飾るというのが大胆かつ斬新なデザインだな〜と。

これまで書いてきて、明治宮殿が焼失してしまったのはやっぱり残念だなぁという思いを新たにせずにはいられません。

長々と書きましたが最後まで見てくださった方々に感謝します😊