宝塚大劇場 宙組公演『神々の土地』 ~ロマノフたちの黄昏~

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現在、公演中のコチラの主人公がドミトリー大公ということで
ロマノフ王朝の本ん読んでみたので、簡単に紹介してみます…。

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ロマノフ王朝 : 帝政ロシアの栄光と革命に消えた皇家


第1部 王朝の誕生(ミハイルとアレクセイ
ソフィヤ・アレクセーエヴナ
ピョートル一世 ほか)

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ピョートル大帝騎馬像

第1部では当時16才のミハイル・ロマノフが皇帝に推戴され、
1613年にロマノフ王朝がロシア帝国を統治し始めたことや、
その子・アレクセイ、ピョートル大帝の娘・エリザヴェータが
統治した、帝政時代初期のことが第1部では書かれています…。

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ミハイル・ロマノフの戴冠

でも何故16才の少年が推戴されたのかは分からないそうです。
前王朝のリューリク家のイワン4世の皇后がロマノフ家出身で、
ロマノフ家がリューリク家の外戚だったからではないか、との
推測が為されています。あくまで推測で事実かどうかは不明…。

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1724年の即位式でエカテリーナ一世が着用したドレス

個人的に第1部ではエカテリーナ一世のドレスが一番印象的で。
豪華さもさることながら、エラくお肥りだな~と思って(^_^;)
あと「王朝草創期の宝冠」という特集ページもスゴく良いです。

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モノマフの冠

モスクワ大公国ドミトリー・ドンスコイ(在位1359~89)
からロマノフ朝ピョートル一世までの、すべてのモスクワ大公、
ロシア皇帝の戴冠式で用いられた。かつてビザンティン皇帝の
コンスタンティヌス9世がキエフ大公ウラジミール・モノマフ
(在位1113~25)に授けたとされる伝説を持つが実際は
後世である13世紀後期~14世紀前期に作られたものである。

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ミハイル・ロマノフの冠と王笏と宝珠

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ピョートル大帝の冠

ピョートルは自身の即位に際し、最初は共同統治だったため、
モノマフの冠を自身のためにもうひとつ、つくらせてもいる。

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アンナ・イワノヴナの冠

これもビザンティンの影響を受けたデザインで中心から2つに
分割され、頭頂部に十字架を戴いている。多くのダイヤモンド、
大きなスピネルで煌びやかに飾られた名品と呼べるものである。

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エリザヴェータが華麗な宮殿へと改築させたエカテリーナ宮殿

ピョートル大帝とエカテリーナ一世の娘エリザヴェータ女帝が
建てたエカテリーナ宮殿と冬宮殿も印象的ですね、やっぱり…。

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冬宮殿

特に冬宮殿は帝政時代はロシア皇帝の皇宮だったワケですし…。

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大使の階段(ヨルダン階段)

特に正面玄関を入って直ぐの『大使の階段』は有名ですよね~。
エカテリーナ宮殿と共に世界遺産に登録されている建物ですが、
両方ともエリザヴェータ女帝時代のものだったとはね( ̄O ̄;)

第2部 さらなる隆盛と革命の機運(エカテリーナ二世
アレクサンドル一世
ニコライ一世 ほか)
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ペドロパヴロフスク要塞の霊廟
ピョートル二世とイワン六世を除く、
ピョートル一世以降の歴代皇帝の棺が並ぶ

第2部はロシア帝国の皇帝専制の最盛期から衰退の始まりが…。

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エカテリーナ二世
ロマノフ王朝 第8代ロシア女帝
(在位:1762年~1796年)

プロイセンのフリードリヒ二世やオーストリアのヨーゼフ二世、
そういった啓蒙専制君主の代表とされる。ロシア帝国の領土を
ポーランドやウクライナに拡大して、ロマノフ王朝の最盛期を
もたらした人物としてピョートル大帝以外で“大帝”の称号を
持つスゴい人ですが、情人を多数つくって愛欲絵巻を展開した
女性、という側面も併せ持つ人です。たとえば肖像画の王笏に
嵌め込まれたオルロフダイヤモンドなんか有名ですよね(^o^;)

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エカテリーナ二世の王笏

情人のグレゴリー・オルロフ伯爵が献上した189カラットの
一粒石のダイヤモンド。このダイヤを購入する為に、全財産を
注ぎ込んだにも拘わらず、女帝の寵愛を取り戻すことが出来ず、
発狂して死んでしまったという恐ろしいエピソード付きです…。

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大きなダイヤモンドには大抵コワイ逸話が付きものですよね~。

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エカテリーナ二世の王冠

「女帝ゆかりの宝物」という特集ページでエカテリーナ二世の
王冠や王笏なんかも載ってますが世界最大のレッドスピネルや
世界で4番目に大きいダイヤモンドやら、女帝のイニシャルを
あしらったブローチが載ってます。この時期がロマノフ王朝の
最盛期だったんでしょうね。後を継いだパーヴェル一世は暗殺、
孫であるアレクサンドル一世やニコライ一世の時代には王朝の
基盤が既に揺らいできているような状況になってますからね~。

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女帝の頭文字入りブローチ

エカテリーナ二世の“E”と“II”をモノグラムにデザインし、
その上部には、女帝の象徴でもある王冠の飾りが施されている。
銀製の台座にダイヤモンドが敷きつめられた、このブローチは
1770年~80年頃、サンクト・ペテルブルクでつくられた。

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アレクサンドル二世一家

ニコライ一世の後を継ぎ、皇帝となり、農奴解放などの政治の
近代改革を行ったが、拙速な急進的政治の反動から暗殺される。

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アレクサンドル二世暗殺

1881年、A・ワルドによって描かれた絵が紹介されています。
皇帝の両足はちぎれ、眼窩は飛び出していたというその日の内に
首謀者は逮捕され、4月3日、絞首刑にされたそうです(ー_ー;)


第3部 帝政ロシアの落日
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玉座(冬宮)

そして帝政末期へ…。先ずはアレクサンドル三世の治世から…。

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アレクサンドル三世
ロマノフ王朝 第13代ロシア皇帝
(在位:1881年~1894年)

近接諸州のロシア化、異民族の抑圧策を強行。フランス資本を
導入して、シベリア鉄道を起工し、工業を飛躍的に発展させた。

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アレクサンドル三世夫妻の戴冠式
(1883年5月27日)

そういえばエルメスのCarreで《モスクワ大行進》がありますね。

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GRAND CORTEGE A MOSCOU
《モスクワ大行進》

アレクサンドル三世の戴冠式のときのパレードを描いた絵柄で、
とっても華やかでキレイなCarreだと思ってます♪ヽ(´▽`)/

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こんなに華やかな絵柄なのに実際は難しい時代だったんですね。

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元々、父親のアレクサンドル二世の影響もあって自由主義的で
優しい性格の方だったそうですが父帝の暗殺を受け、ガラリと
皇帝専制政治の体制を強めたそうです。それを長男で次の皇帝
ニコライ二世も受け継いでいくわけですが、歴史のうねりへと
呑み込まれてしまうわけですが、ニコライ二世の話は次回に…。