「冬に第6波が来ても、緊急事態宣言は必要ない」現役医師が空気を読まずそう断言する理由② | 田窪一世 独白ノート

田窪一世 独白ノート

ブログを再開することにしました。
舞台のこと、世の中のこと、心の中のこと、綴っていきます。

私は、選挙で国民に選ばれた政治家の人々が国の方針を運営すべきだと思っています。彼らの下に、日本のために働く専門家より賢いエリート官僚もついています。岸田首相が、医療体制を拡充し「『幽霊病床』の見える化を進める」と述べたのは、専門家によってブラックボックス化したものを政治家主導で透明化させる一歩だと思っています。

大切なのは「ウイルスがどれだけ人々に被害を与えるか」です。これから冬を迎えて陽性者は増加するかもしれません。しかし、陽性者数に一喜一憂する必要はありません。これからは重症者数だけをカウントし、それに応じた病床を準備すればよいでしょう。

もし重症者が増えずに感染者数だけが増えるなら、免疫をつけるためにかえって良いことです。感染者が増えたら警戒すれば十分です。専門家がうごめき出してもまつりごとを行う人々が自ら指揮を取って人流制限による過剰な社会破壊を行わないようにする必要があります。

 

未知のウイルスだったのにもかかわらず専門家と呼ばれる人々は、意見の異なる人々の声に耳を傾ける謙虚さを持ちませんでした。さらに新型コロナ感染症を「ちょっとでもかかってはいけない病気」だと国民に植え付けたことも罪深いと私は考えています。

幸い、日本は欧米のようなロックダウンをしないで、やり過ごすことができました。それでも危機には陥ることはありませんでした。すでにコラムをお書きした通り、日本では“ユルユル対策”が正解だったと言えるでしょう。

PCRから簡易抗原検査にすれば騒ぎもおさまり、地方経済も戻るだろうと県知事さんや市町村長さんの会議でお伝えしたのも1年ぐらい前のことです。懐かしい思い出です。私なりに現状を整理してみました。

 

☆古来からある季節性コロナウイルスに新型コロナウイルスが混ざり込み、コロナウイルス間でも競争がおきて感染力が高く弱毒のものが世の中を席巻したと考えています。

☆日本では最初から世界に比して少ない被害でした。日本には調査方法によっては集団免疫形成の兆候があり(注7)、さらに流行の波のたびに免疫を獲得していきました。ワクチンも追加されました。

☆中国では2019年の夏ごろから流行り始めたかもしれないとも予測されています(注8)。国内にすでに持ち込まれ2年以上経過し、5波では、はっきり陽性者数と死亡者数の間に大きなリンク切れが観察されました。

☆これから被害が急に増大することは考えにくいと予想します。被害が急増するようなら突発的な別な要因が働いたときです。

 

私たちは長期にわたって自粛を求められてきました。新規感染者を減らすことに偏ったことが原因です。さらに自粛は日本社会に深刻な影響を与えました。

私は、来院する患者さんとよく会話をします。なかでもうつになりながらも、飲食業を守った40代後半の男性のお話が印象に残っています。

男性は、奥様と一緒に店を切り盛りしながら、東京下町の1号店を皮切りに10年かけて渋谷などの繁華街に店を徐々に展開していきました。しかし、緊急事態宣言で状況は大きく変わりました。客足は途絶え、デリバリーに変更しようにも、お金をかけたしゃれた内装をお客さんが楽しむ形態でしたのでムリがありました。店舗を閉じるたびに男性は落ち込んでいくのが伝わりました。うつの治療も開始しました。

奥様につらくあたるようになり、手塩にかけた従業員は店を離れていきました。みんなで作り上げた店が壊される、そのつらさは尋常ではなかったそうです。

下町の1号店だけは何とか残すことができたそうです。しかし、開店休業の状態。「原点を考えたんですよ。何が原点なのかって」と奥様と涙ぐむ姿は、長期自粛を私たちに求めた専門家の誤った選択の結果だと思います。