孤高のシェフ、

ピエール沢庵は ここ10日間ばかり、 悩んでいた


なぜなら、ひかり姫のサイトに ババロア作りました★ を見つけたからである。





ババロア・・・



この名を聞いて、 悩まぬ者はいないだろう


パティシエにとって、 突如大きな壁となって現れ 行く手を遮り、 これほどまでに悩ませる物はない


その正確な配合、完璧なツヤ、そして形・・・


すべてを納得させるものを作り上げるのは、 ひょっとしたら不可能かも知れない



しかしそれは、パティシエを目指す若者の前に 容赦なく突如現れる。 必ず。

みな、誰もが通る道である。 避けては通れない。 ある者は悩み、苦しみ、そして発狂さえする

またある者は 苦悩の末、 パティシエの道をあきらめ、 逃げ出してしまう


ババロア・・・


ババロアとは それほどまでに 恐ろしいデザートなのである





沢庵も 苦悩していた 苦悩し続けていた


サイトを見つけ数日間悩み続け、07月26日 に 「ババロアの素」を見つけた。と言ったが

それでも苦悩は続いた

「ババロアの素」のおかげで、ゼラチンから作る必要は無くなった。 これで大きな失敗はなくなるだろう

が、しかし根本的な問題が まったく解決されていなかったからである。


この、極めて高度なデザート、 ババロア をいかに作り上げるか


その あまりに高度な手順、綿密に計算しないと 決して完成されない この問題に

頭を抱え、 髪をかきむしり、 机をひっくり返したりもした

「ダメだ・・ 作れない。 ・・・高度すぎる」

ひかり姫 のババロアは 玉子まで使うと言う、それで 1gまで計れる デジタル秤まで購入した

それでも作り始める自信が まったくなかった。


あまりの難易度の高さに、何度もあきらめようともした。 悩み、考え続けた。 仕事さえ手に付かなかった。

しかし逃げるわけにはいかない。 ここで逃げてはパテシエの道が閉ざされてしまう

「・・・なにか、良いアイデアはないか」

頭痛すらしてきた


そして、鎮痛剤を手に取った


これだっ!


いっきに 開眼した



そして、今日に至るのである



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さっそく始める。


まず そろえる用具と材料は

これである。


飾り付けの素材は省略してあるが、 無駄な物は一切ない


パティシエールならぬ、パティシエは よく見ておくこと。




まず 玉子の黄身の重量を量る
容器分を除くと19gであった。20gとしておく


これを混ぜるので、熱湯100g 牛乳200gを使用する所を それぞれ10gずつ引き、

熱湯90g、牛乳190gとする

男のデザート職人、パティシエは グラム単位で間違えてはならない

これは 完成品の見栄え、弾力にかかわる重要なことである



そして
ババロアの素75gと熱湯90gを1分間 ゆっくり混ぜ合わせる
次に玉子と牛乳190gを ゆっくり混ぜる


このとき、注意しなければならないことがある!

熱湯の時も、牛乳の時も ゆっくり 混ぜるのである


これがすべてと言っても過言ではない。 結果を左右する 大切な場面だ



けっして 泡立てず、 ゆっくりゆっくり 素材だけが混ざるようにする


するとこのように きめ細かい液体になる


次に、 できた液体を 泡が立たないよう、ゆっくりゆっくり 2つの容器に取る
なぜ 2つの容器なのかとか、深いことは考えてはならない
素直にやれば良い




そしてこれは 捨てる あとでね


パティシエール 及び 料理慣れた女性の読者は、 よく聞いて欲しい。 これは 捨てるのである




総量75+90+190+20g=375g であるが、 つかうのは 約80g

厳選された 80gのみ である


パーセンテージにして 約21.3% 実に 78.7%を捨てる のである


もったいないとか思うなかれ、 これが 男の料理 である

これをなくして ババロアのハードルを越えることはあり得ないのだ




そして ボールに残った 僅か80gの素材を



今度は

力一杯 混ぜ合わせる

泡立つほどに!




すると こうなる

量もピッタリ! 計算通りだ



あとは これを冷蔵庫で2時間冷やすだけである




あまりに綿密で 長い行程に 驚かれた読者もいるだろう・・・

が、 ここまでしなければ、完璧なババロアに近づけないのである。


いや、完璧などとは おこがましい。 やっと初歩をクリアできた というところだろう




冷蔵庫から取り出したババロアを 盛りつけると、 こうなる






・・・ どうだろうか?




やっぱり ちがう!

ここまで厳選した 素材だったのに・・ なぜだ!!



いや、 例によって 安いチョコシロップだったから デロデロに溶けてるとか

ひかり姫のように パンプキンシードを使わず アーモンドダイスだけだったから 色合いが悪いとか

計量カップを使ったから カタチ自体が変 だとか プリンみたいだ とか


そーいうんじゃない


その点は 納得している


味に関して言えば、 ひかり姫 が玉子を使う と言っていただけに、 濃厚な味で 良かった

エアも十分入り、ふんわりしていた。 舌触りも良かった

欲を言えば、 アーモンドダイスだけでなく パンプキンシードも入れれば

味に広がりが出た だろう。 さすが。 とその先を想像できたくらいだ




カタチ上の 「納得している点」を考慮し、 味の良さを見れば

コメントを入れてくれる人も 「なかなかじゃない?」 と言ってくれそうな気がする



専用のカタがあり、 良質な網掛けが出来、飾り付けの素材が充分にあったとすれば

「いいんじゃないの?」 「次は キレイなのができるよ」 と言ってくれそうな気がする



それに関しては、 素直に ありがとう と言っておきたい



そうコメントしてくれれば、 そう返したいと思う。





が、 一部の読者に 沢庵と同じように

腑に落ちない と感じてる 読者がいるようで、 たまらないのである






これは 心の問題 である




育った境遇とでも 言おうか・・・


奥が深く、 高度なババロアを前にして、 沢庵と一部読者だけが感じる 疑問なのである



沢庵が学生の頃は、毎日研究研究に明け暮れていた

研究室に閉じこもり、綿密な計算ばかりしていた沢庵は 異性とチャラチャラする暇はなかったが

そのかわり緻密さという鋭い感性があった

もし その頃の沢庵がパティシエを目指していたならば、 また、今の若いパティシエが そういう人間ならば、

必ず思うだろう。 「何かが違う、これで終わってはならない」と。




そこで、そう思う輩だけに、特別に


今夜6時間後の AM2時から

今日の素材を徹底的に見直した 深夜の研究発表会をしたい

と思う



沢庵が 悩み続け、やっとたどり着いた

その緻密な計算と実践により、今 心につっかえている はっきりとは言えない不満は解消されるであろう

きっとそこには このデザートの前に立ちふさがる、高きハードルを乗り越える 何かがある。

大学研究室にいるような ダサイながらも若き「妥協できない 緻密なパティシエ」はぜひ参加してくれ




断っておくが、 逆に

目分量で料理をする女性、主婦は

AM2時からは見て欲しくはない これで終わりとして欲しい


厳しい言い方をするが

若い時からチャラチャラ ディスコに行き、楽しい男女交際も体験し

世の中こんなもんだと早々に悟りを開き、料理なども こんなもんだと目分量で良しとするような女性には


そもそも ハードルが存在していることすら気が付いておらず、 ムダだからである


厳しい言い方だが、

生きてきた環境が違いすぎ、 見れば その研究室レベルの陰湿かつ新たな世界感にショックを受けると思う

その あまりにも 緻密であり、その分析と発想による結果に ショックを受ける に違いないので、

来ない方が良いと警告しているのである


親切心である


繰り返すが、いままでなかった世界観を見せつけられ、ショックを受けるから

決して 来てはならない



特に いつも見てくれている

るちるなおうり坊紅のこぶたさん、 そして ひかりさんは特に

絶対に来てはならない


沢庵も迷ったが、このババロアという物を目の前にしては、 ブログとはいえ 終われない気がしたのである

過去研究員でもあった男の、本気モードを出す

あの頃は 「ダサイ、青春を楽しんだ方がいいよ、根暗?ひきこもり?」と馬鹿にされ続けた・・

あの時の感性のままである。 普通のブログを読む感覚では拒絶反応を起こすだろう



本来、ブログでやるべきことではないかもしれない、

でも やらざるを得ない

そう悩んで、悩んで やっとの決断なのだ





男が 本気になったら 恐ろしいのである。 見ればブログとはいえ、男の新たな一面を見せつけられ、

これがあの優しい沢庵か? と ショックを受ける可能性が高い


料理は戦いである。 そして

これは 男の料理人の超えねばならない壁の

勝負の世界である



常連の コメントを書いてくれている読者は

今回の料理に関しては、 ここまで。 とし、以下に感想コメントを書いて終わりにして欲しい

今回のババロアが、 ハンドル名:沢庵 が作るババロアである