125ガンマ・ウルフのシリンダーと排気デバイス
純正は廃盤ですが、両方ともVガンの部品が流用できると言われており、実際に流用されている方がいらっしゃいます。またシリンダーに関してはボーリングはできませんが再メッキをして再生することは可能です。デバイスも社外品が販売されているため、廃盤になってもどうにかすることが可能な部品です。
そもそもガンマのエンジンがざっくり言うとTSの腰下にセルとVガン(VJ22A)の腰上を付けたものですし、PL上でも共通部品が多数あります。
調べるとVガンは年式によって違いが多いため、シリンダー・排気バルブにも違いがあるようです。この流用に関してはあまりネット上で議論されていないと感じたので、まとめてみました。
この記事を書くにあたり、下記のサイトが大変参考になりました。(ヤフージオシティーズなので魚拓)
全部読むと長いので要点だけまとめると
シリンダーはL STD SP(90年) L SP(90年) M STD(91年) N STD(92年) でOK。他の年式やモデルも使えるけど、スタッドボルト、ナット、ワッシャーを交換しないといけないかも。また93年以降のモデルは馬力規制のため排気ポートが楕円状になっているため、多分そのままだと適さない。
排気バルブはM型以降であれば使える。P型SPは不明。
RS250はM型・N型とほぼ同じ?
あくまで予想なので、使えないとかセッティング合わないとか言われても責任はとれません。
- シリンダー
詳しい流用の仕方はオーナーサイト フナさんのページに載っています。排気デバイスのプーリーホルダを自作し、冷却水の連結パイプを何かで埋める必要があります。
因みに純正も鉄キャップで埋めてあります。ここを叩くと取れて大惨事になるとか。
シリンダーの再メッキをしても溶けてしまうようで、テクノギルドさんでは砲金製キャップで埋めていました。
VJ22のシリンダーには、品番として4種類あるそうです。
L STD SP(90年) L SP(90年) M STD(91年) N STD(92年)
11200-22812 (1)とする。
排気開き79~97°BBDC、掃気開き64°BBDC
M SP(91年) N SP(92年)
11200-22830 (2)とする。
排気開き79~97°BBDC、掃気開き64°BBDC
P STD(93年) R STD(93年)
11200-22851 (3)とする。
排気開き78~96°BBDC、掃気開き63°BBDC
P SP(93年)
11200-22840 (4)とする。
排気開き78~98°BBDC、掃気開き63°BBDC
125ガンマ・ウルフのシリンダー
番号は11200-19830 その後11200-19841に統合されています。おそらく11200-19841がウルフ用ですね。(塗装有無以外は同じものらしい)
どちらも廃盤です。発売年は91年。ポートタイミングはSMによると排気開き80~97°BBDC、掃気開き65°BBDC
上記のサイトに、" ヘッド取付用のスタッドの長さが、(1)=2本が長く、3本が短い。に対し、(2)=5本とも長い。 "とあります。125も2本が長く、3本が短いです。ポートタイミングも近いですね。(排気開きに関しては使っている排気バルブによっても変わる)
よって(1)が一番125純正と近いのではと予想します。
(1)以外のシリンダーを流用する際はスタッドボルト、ナット、ワッシャーの交換が必要とのことなので、125に関しても同様かと思います。cmsnlでチェックしたところ、どうも125とVJ22Aはスタッドボルトの品番が違うようです。また(1)以外のシリンダーが見つかりません。両者の日本版PLを用意した上で、現物を使って試さないと分かりませんね。
因みにVJ22Aの規制後モデル(93年以降)は、排気ポートを楕円状にすることで出力規制していたそうです。125は楕円ではありませんので、93年以降のシリンダーは合わないと思います。124は代わりにチャンバーに絞りを付けることで22PSに抑えてるのでしょう。
VJ21Aのシリンダーについて
検索するとVJ22にVJ21のシリンダーを流用した例が見つかりますし、フナさんもやっているので可能かと思いますが詳細は不明。
- 排気バルブ
排気バルブは以下の4種類です。
L STD SP(90年)
右 11250-19810 左 11250-19820-------(A)とする。
M STD SP(91年) N STD SP(92年) P STD(93年)
右 11250-19830 左 11250-19840-------(B)とする。
P SP(93年)
右 11250-19850 左11250-19860-------(C)とする。
R STD(93年)
右11206-19D01 左11207-19D01-------(D)とする。
上記のサイトやネット上の情報によると
250のデバイスに関して
(A)のガイドピン径はφ4。(B)はφ5になった上、2重ピン構造。 (いわゆるL型の悲劇)
また 取付寸法には互換性があるが、(A)の方がストロークが長いので、排気バルブモーターやプーリーが異なるらしい。
(C)はSP用で排気タイミングが変わる。
(D)は125ガンマのFR(94年)以降のものと共通。(機種番号19Dなので元々125用として開発されたもの?)
M型以降は2重ピンらしいですが、上述した通りストロークが異なります。
125のデバイスに関して
125の前期(FN 91年)と前中期(FP 92年)は250と違って刃一枚一枚に番号が付いています。(つまり左右で6個)
恐らくVJ22とは違います。
初期のモデルはL型と同じようにピンが細い(1重ピン)らしいですがPL上ではFNもFPも同じ番号です。サイレント修正説。
少なくとも私のFPは2重ピンですがいつから2重になったのかもよく分かっていません。
125にL型を使うと燃調が合わず、M、N型用のデバイスにしたら元に戻ったという話をTwitterのフォロワーさんがおっしゃっていました。
以上の事からおそらく排気バルブもシリンダーと同じでM、N型(B)が合うんじゃないかと思います。
謎なのは91年販売なのに初期のみ1重ピンだった(しかもL型の排気デバイスとは違う)という点ですね。
中期型(FR 94年)と後期型(FT 95年)は(D)と同じです。125はシリンダー、排気デバイスアクチュエーターが全年式で共通で、アクチュエータを制御しているCDIもFTまでは共通です。デバイスに互換性がないという報告もないため、(D)も125の全年式で使用できると思います。(C)は分かりませんね。
(D)の違いについて、上のサイトだと 40PSで面白くするためではとの考察がありますが、125は最高出力に変更はありません。SMにも形状を変更した理由は特に書いていませんでした。エンジン性能曲線図の変更も書かれていません。(省略したのかもしれませんが)
- RS250
上記サイトによるとアプリリアのRS250のシリンダー・排気バルブはM型、N型SPとほぼ同じ物らしい。
- ピン
デバイスのピンですがこれはスプリングピンと呼ばれるものです。1重ピンの内部に3×14のピンを圧入して2重巻きピンのようにして強化している方がいました。
- 社外品
RGV250 RS250用として何社か販売しています。あまり日本では販売されてないのでレビュー等は少ないですが、純正より頑丈との謳い文句が書かれているのを見て思わず保存したことがあります。
こういうやつ
多分これはTYGAの商品ですね。(2枚目の画像の90度回転)
https://www.tygaeurope.com/index.php/set-powervalves-4-pieces-complete-cnc-billet-aluminium-rgv250-rs250.html
The Tuning Worksという会社からも販売されています。
https://www.thetuningworks.co.uk/store/product_info.php?products_id=396
2社とも適合する年式が書かれていませんが、RS250に適合ということはM型、N型でしょうね。対策後のバルブで一番汎用性がありそうですし。
両方とも一台分(シリンダー2個分)の販売みたいです。
写真を見た感じ、ピンが折れることはまずなさそうです。純正はなんでスプリングピンなんて使ったのだろう。(コストカット?)
説明文の内容が正しければ、2社とも純正より頑丈で出力特性も優れているみたい。
The Tuning Worksは昔はRG125用も販売していましたが、現在は廃盤のようでページが消えていました。
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単気筒同士での互換性
これまで書いてきた通り125のガンマとウルフ(NF13A)は互換性がありますが、200ガンマ・ウルフやTSは鉄スリーブシリンダーで、排気デバイスにも互換性はありません。
200ガンマ・ウルフとTS200R同士は互換性があるという話は聞いたことがあります。