荒々しいファズ音を特長とするGが暴れ狂うヘビィサイケ・アルバム /アンダーグラウンド・セット | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

THE UNDERGROUND SETは契約の事情からか?以前紹介した「ブルー・ファントム」同様、メンバーにおけるラインナップも判らないバンドの一つであるが、同好仲間から得た僅かな情報によれば、どうやらイタリアで結成されたNUOVA IDEAのメンバーが関わっているバンドらしい事が判明。つまりラウドで荒々しいほどのファズ音を特長とした、翌年の72年にオーセイジ・トライブを結成したギタリストを基軸としたサウンドといった事になるが、今回紹介する71年にリリースされた2ndアルバムではオルガンもG奏者と同等の活躍振りで、全体的には間違いなくそれに近いアグレッシヴ且つハードなもの。異なる部分はG音が爆音に近いファズ音なるが故にヘヴィ・サイケに近いサウンドで、全編インスト・ナンバーによって構成された部分。

その内容はインスト・アルバムであるが故にG奏者やオルガン奏者が主旋律やリフを奏でながらも、オーバーダビングによってGがアドリブに近いソロを弾き倒すといった処で、中でもGが主旋律を奏でるオルガンにカタルシス的に切り込んで入る間奏は、クラシカル・テイストまで感じさせてくれるもので、とにかく半端ないカッコ良さ。

このアルバムにおける特筆すべきはDsの凄腕で、そのボトムを支えたメリハリの効いたDsサウンド自体も素晴らしいが、どっしり構えたハードロック然としたドラミングが実に素晴らしい。ただ残念と感じる部分は常にタイミングが少しずれた輪郭のはっきりしない音を奏でるBsで、その技量に?マークが付く部分。

アルバムには短かめの曲ばかり並ぶが、P・ハルムにおける「青い影」にインスパイアされたかのようにも映る、荘厳なオルガンがゆったり流れるナンバーにGが絡んだり、ヘヴィネスの極みといった曲に至るまで、オルガン音を背景にしてGが絡む一貫したアレンジは、ごった煮感もなくバラエティに富んでおり、それが故に最後まで全曲飽きを来させず聴けるのが最大の値打ちで最大の魅力。とにかく楽曲がメロディアスでありながらも、Gが縦横無尽に暴れ狂う類稀とも言えるサウンドといった事だけは確か。

 

           71年2ndアルバム

 

このアルバムは数年前における初CD化後に全く予備知識もなく自身は購入したのですが、その後で初回プレスのアナログ盤はマニア垂涎の激レア・アルバムであると同好仲間から聞き及びました。重量アナログ盤も同時にリリースされたらしいのですが、限定盤といった事から今では困難かもしれません。CDなら今でも容易く入手する事が可能だと思えますが、Voレスのインスト・アルバムといった部分がネックとなる方は別として、サイケを醸す荒れ狂うファズ音そのものが好きと言った方々や、特にヘヴィ・サイケ・ファンの方には背中を押してでもお薦めしたい一枚です。もちろんハードロック・ファンの方々に文句なくお薦め出来るのは言うまでもありませんが、間違いなく期待に応えてくれると思います。ちなみに同じバンド名義で前年にリリースされたアルバムは、サイケ色までは許せるものの、ビートポップ感が強過ぎてハードロックとして語るには少し無理があると思えた事から、今回は内容紹介には至りませんでしたが、この手のサウンドが好きな方には意外に推せるかもしれません?YOUチューブで音が拾えるのであればこの機会に是非一度聴いてみて下さい。