垢抜けしたG音もさることながら今に通じる洗練されたサウンドが最大の魅力 /グラウンドシェイカー | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

GROUNDSHAKERはVo、G、Bs、Dsの四人から成るアメリカで結成されたバンドで、これから紹介する71年から72年に跨って録音されたアルバムは、2000年代に入って初めてアナログ盤とCDがリリースされた未発表発掘音源となるもの。

その内容はG奏者から放たれる音は意外にもファズ音とは少し異なる、今に通じる洗練されたナチュラル・ディストーションに近いもので、常に同時に二本が曲中で鳴り響いたオーバー・ダビングやコーラス・ワークを多用したせいか、そのサウンドは非常に分厚く感じられるものとなっている。もちろんそれは重量感に富んだリズム隊の恩恵とも言えるが、特に重いながらも明瞭なベースラインを刻むBsの仕事ぶりが見事。G奏者はブルースに根差された事が判るもので、間奏においてはハイ上がり気味のG音を特長とする唸りを上げるGソロや、ブルージーでメロディアスなフレーズを連発している。全体的に曲自体は短いもののリフのカッコ良さが目立っており、ドラマティックに展開される楽曲におけるアレンジも秀逸で、馴染み易い歌メロもさることながら、歌いっぷりが見事な熱唱Voのパフォーマンスと並んで◎といった処。71年の録音にしてはメジャー・レーベルからリリースされても決しておかしくないと思われるもので、音のステレオ感も含めボトムから高音域までクリアーでバランスの取れた録音は秀逸。

 

          71年~72年の発掘音源 

 

このアルバムはCD化された約20年前ならいざ知らず、今でも容易く入手出来るとは思えないのですが、サウンド自体はG音が垢抜けしている事や録音状態が良いせいか、とても71年当時のバンド・サウンドには思えないもので、今のHMにも通じる非常に洗練された感のする音だと思います。突出した奏者はバンドにいませんが、それが故にバンドとしてのまとまり感は抜群で、ハードロック・ファンの方には文句なくお薦め出来ると思えます。