初期ピンク・フロイドを意識させるサイケ色の濃いサウンドが特長 /マイ・ソリッド・グラウンド | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

MY SOLID GROUNDはドイツで結成されたVo兼G、Bs、Ds、Kbから成る四人編成のバンドで、71年にリリースされたデビュー作が唯一残されたものとされていたが、近年発掘音源となるスタジオ・セッション・アルバムがリリースされた。

これから紹介するのはデビュー作で、ごった煮感溢れる混沌としたサイケを引き摺るサウンドは、流石に御多分に漏れないジャーマン・ハードロックといった処で、中でも2コードから成るD・パープルの「チャイルド・イン・タイム」にインスパイアされたかの様に映る、13分にも及ぶトランス感のある長尺曲は、P・フロイドが演奏しても決して違和感を覚えない少しスペーシーな曲でもあるが、バンドにおける象徴とも言える曲の一つ。ただ様式美も感じられずだらだらと長くインプロが繰り返されるのはジャーマン・ロックの特徴で、それを独自性と取るか否かはリスナー次第といった処。個人的には少しうんざりしなくもないが、当時はZEPPやP・フロイドなど色んなバンドが、1コードあるいは2コード進行でGソロやオルガン・ソロを含めたインプロを長々と演じていた事を思えば、これはライブを意識した奏者個々におけるパフォーマンスの一つといった事になるのかも、、、もちろん自身もかつてはアマバン経験者の一人なので、それのよい部分も悪い部分も充分判っているつもりではいるが、全体的にはハードロック然としたリフで迫る曲もあるが、ソフトなVoにおける歌唱スタイルも含めて、P・フロイドにおける良い意味でのオマージュとも言える幻想的にも映るサウンド。ただ歪んだ切れ味のある硬質なG音に関しては、馴染み易いリフやワウを効かせたGソロと並んで紛れもなくハードロック・テイストで、曲の背後で奥ゆかしく鳴り響くオルガン音や、時として主旋律を奏でる美しいピアノの響きは間違いなくこのバンドにおける独自性となるもの。

結果的にはリズム隊も含めた奏者個々における技量は普通レベルで、メンバーの中に突出した奏者が不在なせいか、バンド・アンサンブルやアレンジで聴かせるバンドといった事になるが、ジャーマン・ハードロックらしい美しさとダークネス、更にハードネスが同居するアルバムで、一度ハマれば病み付きになりそうとも思えるアルバムという事だけは確か。

              71年デビュー作 

 

このアルバムはユーロロック・コレクションとして日本盤CDもリリースされていた事から、今でも容易く入手出来ると思えますが、71年でありながらサイケを引き摺るサウンドは別な意味で好感が持てると眼に映りました。このごった煮感溢れるサウンドを個性と捉えれば間違いなく満足感の味わえるアルバムだと思えますが、個人的には傑作とまでは行きませんが快作と言った処でしょうか。