海外にも通用するそのサウンドは独自性を持ったヘビィ・プログレ /ミッキー・カーティス&サムライ | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

このバンドは60年代GSブームの前の、50年代にロカビリー歌手として絶大な人気を博したヴォーカリスト、M・カーティスを中心に結成されたもので、G奏者及びKb奏者の外国人奏者も含めて、他にDs及びBs奏者の五人から成る日英混成バンド。その中でBs奏者は後にフリーやフェイセスに加入した事で名が知れる事になった山内テツ、Ds奏者は後にセッション・ドラマーや井上孝之バンドで活躍したロック・ドラマー原田裕臣

これから紹介するアルバムは、バンドが二枚リリースした中の71年にリリースされた2ndアルバムで、中でもハードロック然としたカッコ良いリフから始まる、Gとオルガンの活躍するストレートに迫るキャッチーなハードロック2曲は、全曲英詩発音のVoがソフト過ぎて弱いものの、ハードロックとしてのアレンジは◎、他は前作から踏襲されたジャズ的アプローチとも言えるインストを重視した、少しカオス的にも映るプログレッシヴ・ロックといった事になるが、その中でも特に自己主張が激しいのがBs奏者で、少し歪み気味の太い重低音Bsはバンドに在っては圧倒的存在感。ただ長尺曲における長ったらし過ぎるBsソロは、その技量は認めてもDsソロ同様遊び心があり過ぎ(退屈)とも言えるもので、ほとんど聴く気にさせてくれない。当時はこういった退屈過ぎるインプロも新鮮でカッコ良かったのかもしれないが、アナログ盤における片面全てをインプロで費やすのは余りにも勿体無い話!自身はDsソロやBsソロをカットして市販ソフトで再編集したものを聴いて楽しんでいるが、フリオ・キリコやボンゾ、あるいはB・コブハムにおける別次元のDsはノーカットで楽しんでいる。トータル的には前作とは少し作風が変貌を遂げた、奏者全員が自己主張の場を与えられたヘビィでハードなプログレッシヴ・ハードロックといった事になろうか。

 

            71年2ndアルバム 

 

ちなみに1stアルバムはカンタベリー要素からトラッド、更にフリー・ジャズ的要素まで含んだもので、この手のサウンドが好きな方にとっては、オリジナリティもあって間違いなく楽しめると思えますが、ハードロックとして聴くのであれば余りにもごった煮過ぎるカオス的サウンドで、インパクトのあるリフも無いし、少し退屈過ぎるといった処でしょうか。よって自身が間違いなくお薦め出来るのは、ハードロック化されたアレンジが秀逸と眼に映った2ndアルバムといった事になりますが、プログレ・ハード・ファンの方やハードロック・ファンの方の期待には文句なく応えてくれると思えます。