K・ヘンズレーが在籍した歪んだオルガン音を特長とするヘビィなバンド /ウィード | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

WEEDはケン・ヘンズレーがユーライヤ・ヒープを結成した後、あるいは同時期に在籍していたバンドとして後でその名が知られる処となったが、自身がこの名を知ったのは十数年前に国内盤CDが発売された後。彼の今まで在籍したバンドはトエ・ファットから判る様に、何れも歪んだオルガンを基軸としたサウンド。もちろんこのアルバムも御多分に漏れずその路線。このアルバムが71年にリリースされた事を思えば、ヒープの二作目やトエ・ファットの二作目とも被ることから、この二つのバンドも含めて70年から71年を跨いだプロジェクトという事が想像される。一人のミュージシャンが三バンドをかけ持ちで活動するといった事が実際に可能とは思えないが、現時点では全く理解出来ずにいる。結果的にこのアルバムにはヴィールスに在籍していたVoが加わり、G、Kbx2、Bs、Ds、6人の名前がクレジットされている。

このアルバムはヒープの70年におけるデビュー作とほぼ変わらないサウンドといった事になるが、楽曲自体は別な意味でヒープより遥かにヘビィでアグレッシブ、それは硬質でヘビィなG音や歪んだオルガン音がそうさせているのだと思うが、それにしてもヒステリックで突き刺さるが如き特徴のある歪んだオルガン音は、直ぐにK・ヘンズレーと判るもの。Gの放つ歪んだスライド・ギターは間違いなくK・ヘンズレーだと思われるが、実際にはヘッドマシーンでも聴かれる様にギターも意外に上手いので、Gソロなどは自分で弾いているのかもしれない。

Vo決して下手ではないがあの上手過ぎるヒープのデビィッド・バイロンと比べるのは少し酷。曲によってはヒープが得意とした美しいハーモニーも加わるが、アコギを使用した美し過ぎるバラードは、Voの特長を充分に活かしたもので正に絶品ともいえるもの。

自身はK・ヘンズレーの歪んだオルガン音が堪らないほど好きで、サイケ時代のバンドを皮切りにヘッド・マシーンからトエ・ファットを経てヒープまで、そして二枚のソロアルバムも含め、彼の後で加入したバンドは全てCDで揃えてしまったが、彼のミュージシャンとして脂の乗りきった時期は、ヒープ時代が最高潮と言えるものかもしれない。

                      

結果的にこのアルバムは、曲の出来栄えといった部分ではヒープと比較しても同等と自身はみていますが、アルバムには短めの曲が数曲が並んだけで、通して聴いたとしても合計6曲で約30分。今のCDではとても考えられない曲数なのですが、これが外見と中身が全くシンクロしないダサ過ぎる(チープでポップ)ジャケット・デザインと並んで一番残念な部分。ただしそのコスパが低過ぎる部分さえ問わなければ、ヒープやパープルが好きなハードロック・ファンの方々には、間違いなくお薦め出来るアルバムだと思います。