超絶技巧ギタリストと凄腕リズム隊及び業界屈指のVoが放つ唯一無二のハードロック /テンペスト | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

今回紹介するTEMPESTは、73年と74年にギタリストをチェンジした形で二枚のアルバムをリリースしているが、近年73年~74年ライブ盤もリリースされた。 

この二枚のアルバムの中、1stでのGはアラン・ホルズワースで2ndは元パトゥのオリー・ハルソール、何れも超絶技巧を売りとするギタリストで、その二人に共通するGスタイルは高速運指によるジャジーなアプローチ。よってこのバンドにおけるサウンドは、ほぼこの二人のGスタイルによって決定されているとも言えるが、バンド・リーダーとも言えるDsは元コラシアムのジョン・ハイズマンで、彼の実力はコラシアムで既に実証済みなので、今更語るまでには及ばないだろう。とにかく手数が多く切れの良い重量感溢れるDs。Bsは後でユーライア・ヒープなどで活躍したマーク・クラーク、Voは1stが元ジューシー・ルーシーのポール・ウイリアムスで、このブルージー且つ豪快で表現力豊かな歌唱力には圧倒されるが、歌唱法そのものは自身がリスペクトして止まない、ロビン・トロワー・バンドにおけるVo/ジム・デュワーやクリス・ファーローにとても良く似ている。よってこの三人は歌の上手さや表現力に置いては甲乙付け難いが、とにかく歌メロの取り辛い、この手の難しいサウンドを歌い上げた力量には恐れ入る。ただ2ndからはG/オリーとBs/マークが交互に担当してハモリながらの曲進行となり、バンドもトリオ編成となったが、マークの渋く味わい深い声もまるで専任Voの様で素晴らしい。

1stアルバムも2ndアルバムも結果的にはバンドにおける基本路線はほぼ一緒で、ビートルズ・ナンバーにおける秀逸なアレンジも含め、全楽曲共に捨て曲のない、これ以上望めないほどの完成度の高さ!

特に2ndにおけるG/オリーの奇妙なリフやフレーズはパトゥ時代から注目していたが、ギブソンSGから放たれるナチュラル・ディストーションの切れ味のせいもあってか、少し変態的(当てはまる表現方法がこれしか浮かばなかった)とも思えるもので、R・ブラックモア辺りとは少し異なるGアームの使い方や、カッティング技術などは随分ジャズ+ロック的で、放つフレーズやリフが変態チックなるが故に、初代G/アランより遥かに独創的。ギタリストを目指す人間なら誰でもこう上手く弾きたいと思えるが、この時点で既に孤高の人である事は確か。とにかく類まれな才能を持った凄腕四人が集結して創り上げたサウンドがこれで、この70年代当時においても今でも、誰も真似の出来ない唯一無二とも言えるサウンド!

     1stアルバム   2ndアルバム

ちなみに73年から74年にかけてのライブ盤は、アランとオリーが唯一同時共演した際録られたもので、全てに渡ってツインGやポールの生の熱唱Voが聴ける訳ではないが、その内容はGソロ間にオリーがKb(シンセ)まで操る曲も含め、正にオリーの独壇場といったところで、リズム隊も含めた三人の織り成す凄まじい演奏が聴ける。それに加えてスタジオでの演奏がそのままライブ盤になったかの様なハイレベルな演奏力にも注目で、当時におけるライブ盤にしては、Voも含めた各パートにおける音質が文句なく優れている。

           73年~74年ライブ盤

自身は決して飽きの来ないアルバムの一つとして、ジミヘンやサバス、更にGFRやパープルなども含めて、今に至るまで何十年にも渡って聴き続けているのですが、アラン・ホールズワースのプレイはもちろんの事、オリーの色んなエッセンスを含んだ独創的なプレイやギターサウンド、あるいは現在でも決して色褪せしない演奏力と、秀逸した楽曲の数々がそうさせているのだと思えます。ちなみにバンドが残した三枚のアルバムは、CDなら全て通販で買い揃える事が出来ると思いますが、ハードロック・ファンの方々に向けては、背中を押してでもお薦めしたい三枚です。ただし初めてこのサウンドを耳にする方には、慣れるまでは少し時間が必要かもしれません。所謂ストレートなハードロックとは若干異なりますので、、、