まるで他人同士の共同生活のような

そんな日々が続く中で

僕が一番親しくしている叔父(母親の実弟)から

電話があり、近いうちに遊びに来ないかって


なんだろうか?と思いつつも

「いいよ、いつにしようか?」

「いつでもお前の都合でいいぞ」と叔父


善は急げ?ではないけど、

初動は大切なので、翌日寄ることに


「悪いな、急に呼び出して。

○○チャンとは上手くいってるのか?」って

いきなり聞かれて、なんでこのタイミングで

妻の話し?もしかして、妻が何か言った?

「おじちゃん、話って妻のこと?」

そう聞くと

「違うよ、再婚とはいえ新しい家に新しい奥さんだからどんなかなって思っただけだ」

「もう○年も経ってるんだから新婚じゃないし…」と言うと、

「もうそんなになるのか?」って

叔父も少しボケてきたかな?なんで思いながら

「ところで話ってなに?」

「実はな、お前にしか相談できそうもないことなんだよな。お前も知ってると思うけど、俺は離婚してから今日まで再婚もせず、子供達が成人するまで真面目にやってきたつもりだよ。

離婚したのはみ○き(娘の名前)が高校に進学

する時だったから、もう40年は経つな。」

「おじちゃんずっと一人でいたのは知ってるけど

それがどんなに大変な事だったかは当時は全くわからなかったよ。ても今の自分も数年前まで似たような状況に置かれていたから、そこで初めておじちゃんのたいへんさがなんとなくわかったかな」

そう言うと、さらに叔父が話をつづけ

「実はな、離婚してすぐに別の女性と良い仲になって子供ができたんだ。もう35くらいだと思う」

一瞬驚いた、でもすぐに

「おじちゃんだって男なんだし、離婚後のことなんだから全く問題ないじゃん…」

「確かにそうかもしれないが、その子のオヤジは戸籍上俺じゃないんだよ」

「なんだか良くわからないけどそれってどう言うこと?」

「俺と一緒に若い時に上京した幼馴染が戸籍上の父親なんだ。俺はそいつの奥さんといい仲になってそれで出来た子供なんだよ。でもさすがにその時はそんなこと言えないし、かと言って初めてできた子だったから、彼女があんたとの事は無かったことにする。この子はうちの人との間でできた子として産みたいって言うもんだから、俺もわかった!って言うしかなかったんだな。」

「たまたま幼馴染とは血液型も同じだったから、それならなんとかなるかって思った訳だ」

「じゃあ今は何も波風立つことなく幸せにしてるって事だね。良かったじゃん」

僕がそう言うと

「ところがだ、先週彼女から電話があって、

実は主人が亡くなって、借金があることがわかったと。それもサラ金らしいと。」

「俺にもなんとか返せる額だから、じゃあなんとかしよう!とは言ったものの、その後の生活を考えるとどうも難しいようなんだな」

「おじちゃんの子だってもう働いているんだろうし、生活はなんとかなるんじゃない?ダメなの?」

そう言うと

「確かに数年前までは床屋で働いて稼いでいたらしいけど、仕事帰りのパチンコ屋でいきなり倒れ、救急搬送されたらしいんだよ。それも、ただ倒れたんじゃなく、精神的な病が倒れた原因なんだと。」

「なんだか難しい話だね」

「精神的なって言うのが双極性障害とかいう病で昔で言うところの躁鬱病ってことだ」

「見た目や話した感じは全く健常者とは見分けがつかない、だけど躁状態や鬱状態を数日もしくは数ヶ月の間隔で繰り返すらしく、仕事に就くのがなかなか難しいらしいな」

「だから、家で内職の仕事したりアルバイトくらいしか仕事がないらしいんだ」

「そうなんだね、それはなかなか厄介な話しだし親子二人で生きてくにもなかなか大変なことだと思うけど、その話と僕となんの関係があるのかな?」

そう叔父に聞くと、

「そこでお前に力貸して欲しいのは、俺もアパート暮らしだし、この狭いアパートに呼ぶのも現実的じゃない。かと言って新しい住まいを借りるのもなかなか大変なんだ。だから金はもちろん俺が負担するから、お前がアパート借りて、二人を住まわせてやって欲しいんだよ。どうだろう?」


叔父からの話しはそれ程難しいことではなかった、と、思えたがすぐに答えは出せなかった


当時の自分は会社は大きな痛手を受けていたが、

僕自身はそこそこ蓄えもあったし、いずれ妻とは完全な別居をするのは目に見えてる。

そうなれば自由の身⁈になるし…

叔父も困っているし、過去にはずいぶんと世話になっている叔父の頼みとあらば断る訳にもいかない。


「おじちゃん、わかったよ。

前向きに考えるよ。

でも二人に会った事も話した事もないからさ、

いきなりどうぞ!って言うわけにもいかないじゃん。おじちゃん、一度二人に会わせてくれないかな?」

「そうだな、お前の言う通りいきなりでは難しいよな。それなら一緒に会いに行こう。そこでキチンと紹介するよ」


続く