強い太陽光が貼り付ける砂漠の中、ペットボトルの中にある水をぐいっと飲み干したベジータ。
「ベジータさん、早く行こうよ」
暑さで完全にへばっている悟空が、額の汗を拭って言った。
拭いても拭いても流れ出る汗が、嫌な暑さを体感させている。
懐に忍ばせておいた白いタオルで同じく汗を拭ったベジータは、「ああ、そうするか」と悟空に返し、軽く空に浮き上がった。
そんな時、フラリと現れた一人の少年……汗すらも乾き、完全に目が逝っている。
ヨロヨロと酔っ払いのおっさんに似た足取りで悟空達に近づいた少年は、水を求めて蛇口を捻る。
一気に噴出す水を飲み干し、お次は頭にぶっ掛け体を冷やす少年。水しぶきが地味に気持ち良い。
「ぷはぁ~、生き返ったぁ~!」
大きく声を出して背伸びする少年に、一体何があったのかと視線を合わせる悟空とベジータ。
少年はそんな二人を見ようと視線を移す。浮き上がっているベジータをみて驚いたのか、目を見開いたまま動かない。
視線が辛いのか、両手を軽く前に出したままもう少し浮き上がるベジータ。同じく悟空も浮き上がる。
少年から早く離れたいのか、遥か遠くに位置するパオズ山の方角へ体を向けるベジータ。
しかし……
「ちょっと待ったーーッ!!」
少年の大声が耳にキーンと鳴り響く。
いきなり大声を出したのが自分でも辛かったらしく、乱れた息を整えコホンと咳き込む少年。
「悟空、さっさと行こうぜ」 「了解!」
少年の叫びも虚しく立ち去ろうとする二人に、激しく咳き込む少年。
しかし、ゴホンゴホンと咳き込む内に自分でも辛くなってしまい、ゴホゴホと息を乱す少年。
「だ……大丈夫?」
お人よしな悟空は見逃すことも出来ずに声をかける。
やっと声をかけてくれたと安心し、悟空の肩を掴んで離さない少年……息を整え、まじまじと悟空を見つめる。
「単刀直入に言わせてもらう。空を飛べるなら、オレを故郷まで乗せていってくれないか?」