開業司法書士時代、本当に数えられる程度の件数しかないですが、任意整理の依頼を受けて代理人になったことがあります。
問い合わせ経路は当番制で回ってくる、無料電話相談とかだったような。
前期配属研修でお世話になった、老舗司法書士事務所では、債務整理の依頼も沢山受けていました。
どういうわけか、任意整理は自己破産とかに比べて件数は少なかったですが、一通りの処理の流れは学ばせてもらえました。
個人事務所で依頼を受けると、最初から最後まで全部自分でやらなければいけません。
・受任通知(委任契約書)を債権者に郵送
・取引履歴等が債権者から送られる
・方針を決定し債権者と和解交渉
・和解契約締結(和解書作成)
・依頼者による返済再開(自身で返済したいという依頼者がほとんどだったため、この段階では既に委任契約終了)
概ねこんなような流れだったでしょうか。
老舗司法書士事務所の所長や番頭補助者いわく「受任通知が債権者に届くととりあえず請求がストップするから、この段階ですっかり安心しきってしまって、その後連絡が取れなくなるお客様が多くて困っている」とのことでしたが…。
依頼者と連絡が取れなくなっている間も、債権者からはガンガン「方針は決まりましたか?」という電話がかかってくるわけです。
所長からはそのような電話があった場合「引き続き協議中ですと一言だけ伝えてとりあえず切っときゃいいよ」と言われてましたが。
だからといって、あまりにもそんなやり取りを長く続けるわけにもいかなくて。
解決のためにご協力いただけない場合は、止むを得ず辞任させていただくこともあったと記憶しております。
取引履歴が送られてくるまでの期間について。
対応が迅速な債権者だと、本当に驚くほどスピーディーに送ってくれますが。
中には忘れてんじゃなかろうか?と思えてしまうようなくらい、時間がかかるところもありましたので、電話等で催促したりもしてたような…。
和解条件については債権者からA案、B案、C案みたいに提示されて。
それらの案を依頼者に伝え、どの案なら無理なく返済できそうか、または要望があるのならそれも教えていただき、それらを債権者に伝えていく。
最終的な微調整を経て、やっと和解契約締結という流れでしたでしょうか。
そして任意整理の司法書士報酬ですが、自分の事務所では一社につき一律3万円に設定しておりました。
ア◯ムとかア◯◯ル等の大手債権者だろうが、聞いたこともないような街金的な債権者だろうが。
債務額10万円だろうが100万円だろうが。
全て一社一律3万円。
それが高かったのか安かったのかは分かりません。
ただ債務額10万円だろうが100万円だろうが、事務所として基本的なやること自体は変わらないと思っていたし。
そもそもがお金がないから、経済的に苦しんでいるから、債務整理を依頼していると思うので。
なるべく依頼者の負担にならないような設定にしようとは思ってましたね。
正直、それでも高いと思っておられる依頼者もいたくらいなので。
借金をなんとかしたくて債務整理を依頼しているのに、司法書士報酬の支払いが厳しくて、却って経済的に苦しくなってしまったら、本末転倒ですし。
最後の解決手段だと思って、勇気を出して相談していただいたかもしれないのに、報酬があまりにも高いのであれば、もう絶望しかないと思ってしまう依頼者もおられるでしょう。
先人の司法書士からは「逆にあまりにも安い報酬設定にすると、却って足元見てくる依頼者もいたりするから、難しいよね」なーんて言われたこともありますが…。
苦しんでいる人はなるべく少ない負担で助けてあげたい。
それだけといえばそれだけでしたけれどもね。