11月28日(月)世田谷パブリックシアター

14時開演の「エノケソ一代記」を観に行きました。

ネタバレありますのでお気を付け下さい。



<タイムテーブル>





<作・演出> 

三谷幸喜

 

<出演> 

市川猿之助 吉田羊 浅野和之 

山中崇 水上京香 春海四方 三谷幸喜

<あらすじ>

 

戦後、喜劇王エノケンこと榎本健一の偽者

「エノケソ」が全国各地に出没した。  

この主人公も、そんな「エノケソ」の一人だ。  
エノケンが大好きで、エノケンに憧れ、

エノケンに限りなく近づこうとした男。  
演劇史には決して残ることのない、無名の喜劇役者と、  
彼を支え続けた妻との、哀しくもおかしい二人三脚の物語。

 

 

 

昭和の喜劇王「エノケン」こと榎本健一になりたかった

一座の座長役に市川猿之助さん。その妻役が吉田羊さん。

一座のメンバーに浅野和之さんと春海四方さん。

一座にからむさまざまな人物に山中崇さんと水上京香さん。

エノケンと並び人気の芸人、古川ロッパ役が三谷幸喜さん。
 

 

 

エノケンと偽って各地で公演をしているエノケソ一座。

バレると「こちらは一言もエノケンだなんて言っていません。

エノケソ、と書いてあるでしょう!」と開き直る(笑)

当時は本当に”エノケソ”、と名乗った偽物が、各地で

公演をしていたのだそうです。

エノケソを招致した各地の興行主を山中さんが演じて

いたのですが、金八先生そっくりの教師になったり

ホモのホテル支配人になったり、ストリップ劇場の

やくざだったり、それぞれのキャラクターが面白くて

場面が変わるたびに客席からクスクス笑いが起こっていました。

 

 

 

三谷幸喜さんの古川ロッパも偽物で、正体がバレると

古川口ッパ(ふるかわくちっぱ)と書いてあるじゃないか。

と開き直る。三谷さんのとぼけた演技が面白かった。

エノケンをリスペクトしすぎて、エノケンの気持ちを身をもって

体験したいと、エノケンが長男の鍈一を失うと、大切な

劇団員をクビにしてみたり、病気で右足を大腿部から

切断したと聞くと、自分の足をも切断してしまう座長。

猿之助さんのエノケンはちょっと顔芸も入っていて

先日公演を観たコロッケさんを思い出してしまった。

若干歌舞伎テイストも入っていて、片足ながら、

飛び六方でそでにはけたりしていました。

 

 

 

足切断シーンでは、妻役の吉田羊さんが必死で

止めながらポロポロと涙を流している姿が印象的。

切断してくれる医師が見つからない中、

劇団メンバーの一人(浅野さん)が、医師免許もないのに

「自分が切ろう」を立候補。それを聞いて「ええ~!」と

とても嫌そうな顔をしながら、うつむき加減で心細そうな座長。

切断してから体調を崩しがちになり、舞台にも立てなくなり、

眠るように息を引き取る男の人生は壮絶だった。

その後泣きながら歌う妻役の吉田さんの涙が美しくてジーン。

本物に近づくために、どんどんエスカレートしていく男を

支える妻の姿は健気で心打たれるシーンがたくさんあり、

吉田さんの献身的な妻の演技に魅了されたエノケソ一代記でした。