10月19日東京芸術劇場 シアターウェスト19時開演の
「星回帰線」を観に行きました。
ネタバレありますのでお気をつけください。



<タイムテーブル>

【作・演出】蓬莱竜太
【出演】向井理、奥貫薫、野波麻帆、高橋努、
岩瀬亮、生越千晴 / 平田満
<あらすじ>
かつての恩人に呼ばれ、地方にある恩人の家を訪ねる三島(向井理)。
そこには天体を観測しながら、自給自足の生活を営む生活があった。
美しい自然の中、社会生活に疲れた人達との共同生活。
三島はそこが楽園に思えた。
その中に溶け込み受け入れられる三島。しかし、そのことで
施設の代表である恩人からの嫉妬を受けることになる。
次第にそのひずみは顕著となり、施設に集まる
それぞれの人間関係を複雑にしていく。
いつの間にか、かつての恩人と対立することになる三島。
何故こうなったのか。何故そうなるのか。
留まることも、去ることも許されず、「人間」に巻かれていく…。
三島は産婦人科医。イケメンの医者が来たことで色めき立つ女性陣。
前半はレクレーションを楽しんだり、
たわいもない会話が続き地味な展開。
表面上は上手く行っていたかに見えたメンバー達が、
後半、三島の存在でそれぞれが抱えていた不安や不満が
浮き彫りになり、均衡がガラガラと崩れていく様が面白かった。
心に悩みを抱えた人間が、優しさを愛と勘違いするまでの過程と、
自分が思ったような反応がなかった時、それを裏切られたと
解釈するところが興味深かった。
三島自身はほかのメンバーと上手くやっていたつもりなのに
誤解が誤解を呼んでいつしか周囲の反感を買ってしまう。
担当していた妊婦にセクハラで訴えられたことを、
信頼していたはずの先生にメンバーの前で暴露され、
窮地に立たされる三島。
施設の中でさえも居場所がなくなるのは見ていて辛かった。
施設内の男女間のもつれで、言い争ったり暴力沙汰になったり、
思いがけない展開に笑いもおきたりして、
後半は目が離せなかった。
本人でも気が付かない内面や潜在意識を指摘してくる周囲と
自分自身を静観しながら答えを見つけていく三島の
深い台詞のやりとりや、微妙な空気が見ごたえありました。