3月16日(水)シアターコクーン13:30開演の
「ETERNAL CHIKAMATSU」を観に行きました。
タイムテーブル
作:谷 賢一
演出:デヴィッド・ルヴォー
<出演>
深津絵里、中村七之助、伊藤 歩、中島 歩、入野自由、
矢崎 広、澤村國久、山岡弘征、朝山知彦、宮 菜穂子、
森川由樹、中嶋しゅう、音尾琢真
<あらすじ>
ほんのちょっと、15分だけの恋のはずだった。
止むに止まれぬ事情から、売春婦になったハル(夫と子供あり)。
割り切って始めた商売だが、 足繁く通うジロウ
(こちらも妻子持ち・現在失業中)と命懸けの恋に落ちる。
周囲の反対を押し切ってこの恋を全うすることが出来ないと諦め、
ハルはジロウに愛想尽かしをしたふりをして心ならずも
ジロウと別れる。自暴自棄になって街をさまよっていたハルは、
かつて遊女の涙で溢れたという蜆川(曽根崎川)のあった場所で、
ハルと同じ境遇にある、妻も子供もいる紙屋治兵衛と命懸けの
恋をしている遊女小春と出会い、近松門左衛門の江戸の世界、
古い古い恋の物語に引きこまれていく。
こじんまりした可動式の部屋状セットが
いくつも並び、見世物小屋のような雰囲気。
てっきり曽根崎心中物語だと思っていたら、むしろその逆。
死のうとしていたハルを、思いとどまらせようとするかのように
同じようなシチュエーション、同じような登場人物が
江戸時代によみがえり、ハルの気持ちを動かしていく。
歌舞伎と現代劇を両方観たような満足感。一粒で二度美味しい。
「死んで花実が咲くものか」というメッセージを感じました。
実際に江戸時代に、この物語に共感して、心中する者が
続出したため、上演禁止になり、その後1953年まで
上演されなかった、という事…
劇中に出てくる男性陣が、どうしようもない甲斐性なしばかりで
それに振り回される女性陣が、見ていてあわれだった。
でも皆愛した男の為に一生懸命で、泣けるほど健気。
願わくば、”おさん”のような優しくて献身的な女性が、
息子のお嫁さんになってくれますように… ( ´艸`)
感情表現や心理描写のセリフが細かくて、詩的で、
シェイクスピアの舞台を見ているような気分になりました。
七之助さん演じる小春が刺されるシーンでの、
着物のまま、後ろに体をそらせた姿勢が身震いする程美しかった。
ルヴォーさんが、プログラム中で、「日本の演劇ならではの、
一瞬、一瞬の動きを凝縮した動きが美しい」、とコメントして
いらっしゃいましたがこのような事を言うのだろうか…と思いました。
「ボクの四谷怪談」で、尾上松也さん演じる、
見た目は恐ろしいのに妖艶なお岩を見た時以来のゾクゾク感。
久々に歌舞伎が観たくなりました。
心中、そして義理人情もの…日本人としてのDNAが
激しく揺さぶられる舞台だった。