2月17日(水)シアタートラム14時開演の

「同じ夢」を観に行きました。

ネタバレありますので、お気を付け下さい。



<タイムテーブル>






作・演出 : 赤堀雅秋
出演 : 光石研 麻生久美子 大森南朋 

木下あかり 赤堀雅秋 田中哲司



<あらすじ>

二代目店主(光石研)が切り盛りする、精肉店の

店舗兼自宅が舞台。 妻は交通事故で他界しており、

加害者の元運転手(大森南朋)は焼香にと、毎年訪問する。
寝たきりの父と娘(木下あかり)と3人暮らしの住まいに、

介護ヘルパー(麻生久美子)、謎すぎる店の従業員

(赤堀雅秋)が出入りする。
幼馴染の飲み友達(田中哲司)はいつも店に入り浸り、

煙草をふかす。 今日は亡き妻の10年目の命日、微妙な

人間関係で成り立つ6人が直面した思いがけない真実とは…




ダイニングキッチンと、応接セットのある部屋での

ワンシチュエーション舞台。

ガス台の、油よけの銀紙の焦げ具合といい、シンクの

タイルが水垢で汚れている様子やら、冷蔵庫の扉が

手垢だらけで油っぽいところ、窓ガラスの、枠に近い部分だけが

汚れてくもっているところ、等全てが生活感にあふれていて見事だった。

木彫りの熊や、数珠っぽい暖簾もなんだかなつかしかった。





タイムテーブルの張り紙の下に、”出演者が喫煙する部分が

ございます”と書いてありましたが、部分、どころではなく、

誰かしらほぼ絶え間なく煙草を吸っていた印象。

特に田中哲司さんは一番吸ってたな~

最後の方は男性陣が換気扇の下で一斉に喫煙。

田中さんの煙草を吸うシーンはけっこう好きで、

煙草を口のやや脇にくわえ、火をつけた後、上がってくる

煙に一瞬目を細め、煙草を手に持ち替えたあと、

何かを考えるように少しうつむき加減になるところとか。

自分は煙草は吸わないけれど、カッコ良く煙草を

吸っている人を見るのはけっこう好きかも。





何気ない日常を扱った作品なのに、とにかく面白かった。

事故の加害者と被害者の家族、雇主と常識はずれな従業員、

会話がギクシャクして冷や汗が出るような妙な空気が流れる中、

ヘルパーさんの衝撃の告白があり、展開が読めなくてドキドキ。

沈黙の時間も長いけれど、そんな重たい空気の中にも

それぞれ感情の動きが見てとれて、誰かが台詞を

しゃべりだすまでの緊張感もまた、たまらなかった。




店の金を無断で拝借する従業員の、

身なりにかまわずちゃらんぽらんなところや、

加害者と、加害者に恋心を抱く被害者の娘の微妙な関係。

介護をされている老人がヘルパーさんにセクハラをする、

という話は聞いた事があるけれど、舞台の中の

話とはいえ、台詞も生々しくてちょっと衝撃だった。

それを聞かされた店主役の光石研さんの困惑と申し訳なさの

入り混じった泣き笑いのような複雑な表情にも見入ってしまった。

どの役柄もリアルでどこにでもいそうなのに

役者さんの演技が素晴らしすぎて何気ない日常がものすごく

ドラマティックに見えた2時間だった。素晴らしかった (´∀`)