10月17日(土)新国立劇場 中劇場13時開演の

ミュージカル「passion」を観に行きました。

ネタバレあります。




<タイムテーブル>




公演プログラムは800円


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舞台模型。オーケストラが豪華。

オケピがあるため、最前列が6列目になります。





作曲・作詞:スティーブン・ソンドハイム
台本:ジェームス・ラパイン
翻訳:浦辺千鶴
訳詞:竜 真知子
音楽監督:島 健
演出:宮田慶子


<出演>

井上芳雄 和音美桜 シルビア・グラブ 福井貴一
佐山陽規 藤浦功一 KENTARO 原 慎一郎
中村美貴 内藤大希 伊藤達人 鈴木結加里
東山竜彦 吉永秀平 一倉千夏 谷本充弘
白石拓也 小南竜平 岩橋 大 荒田至法




<あらすじ>


19世紀のイタリア。若き騎兵隊の兵士ジョルジオ(井上芳雄)は、

美しいクララ(和音美桜)との恋に夢中。ところがある日

ジョルジオは大都市ミラノからへんぴな田舎への転勤を命じられ、

クララと泣く泣く離れることになる。毎日手紙を書く、とその愛を

約束するジョルジオでしたが、転勤先で世話になる

上官の館にはのその上官の従姉妹で病気療養中の

フォスカ(シルビア・グラブ)も滞在していた。

病に冒されているフォスカはジョルジオを

一目見て恋に落ち、執拗なまでに彼を追いかけるようになる。

ジョルジオはクララへの愛のために、フォスカの愛を

受け入れず冷たくあしらうのだが、やがて…






原作がイタリア映画の「パッション・ダモーレ」という作品。

この元になった作品にソンドハイムさんが作詞作曲した舞台との事。

引き戸のようなパネルで場面を変える方式…「二都物語」デジャヴ?

いきなりベッドシーンからの始まりでビックリだった。

シルビアさん演じる心身病んだフォスカがすごかった。

精神を病んだ、というと「ネクスト・トゥ・ノーマル」の母役でも

観ましたが、比べものにならないくらいのやつれ方で、

最初出てきた時、誰なのか分からないくらいだった。






ストーリーも不倫、執着、嫉妬、ねたみ、誤解…ただでさえ

ドロドロしているところへ、ソンドハイムの複雑な旋律が

重なって頭混乱。正直、どの役にも共感できず…

「女性は華。男性はいろいろと選択の道があるけれど、

女性は綺麗でなければ…云々…」の歌詞にはうーん…

フォスカが結婚した男はただの金めあての男。

別れ際の「君だって楽しんだんだからその料金だと思え」的な

捨て台詞発言に男性目線で書かれた戯曲?と思わずにはいられない。

イタイ度としては「地獄のオルフェウス」≦「Pssion」<「サンセット大通り」

だろうか…そして自分のイタイ度も振り返らずには

いられなくなり、いたたまれなくなる。






愛とは与えるもの?求めるもの?リスクを恐れないのが本当の愛?

テーマが大きすぎていろいろと考えてしまう作品。

執着して愛が成就するならば、いくらでも執着するけれど…

相手にもよるだろうし難しい。いくら裏切られて精神を病んだと言っても

人にも物にも執着しない私はなおさらよく分からない。

フォスカがストーカーすぎて、汽車のシーンにまで

現れた時には客席から笑いが起こったくらいだった。

あのシーンは怖くて一番インパクトがありました。






夫も子供もいて幸せな生活があるクララが、不倫相手の

ジョルジオを失いたくなくて「子供がもう少し大きくなるまで

待ってて。そうしたら一緒になれるかもしれない」と言うシーン。

今の生活をすぐに捨ててまでジョルジオと一緒になるほどの

情熱はないクララ。ジョルジオは守りに入ることは本当の愛じゃない、

という様な事を言っていますが、だからといってフォスカから

「あなたの為なら死ねる」って面と向かって言われるのもどうなんだろう。

本人を前にしてそれを言葉に出す時点で、見返りの愛を

期待していることにはならないのか。そもそも無償の愛って何なのよ…

なんだかんだで、ああでもない、こうでもない、と考えている時点で

既にこの作品にはまっているという事でしょうか…A-_-;)

ソンドハイム作品の中では(って言っても全部観た訳では

ありませんが)歌は♪スウィーニー・トッドが一番好きかも。

台詞とシチュエーションがやけにリアルで

ミュージカルにしてはストプレっぽくて心が痛む舞台だった。