6月27日(土)DDD  AOYAMA CROSS THEATER

19時開演の、劇団AUN第22回公演

「黒鉄さんの方位磁石」を観に行きました。

上演時間は1幕が1時間10分、二幕も1時間10分。




作・演出 : 市村直孝

出演 : 吉田鋼太郎、沢海陽子、長尾歩、林蘭、

佐々木恵里奈、長谷川祐之、飛田修司、岩倉弘樹、

森瀬惠末、大塚明夫、杉本政志、北島善紀、工藤晶子、

前田恭明、坂田周子、伊藤大樹、寺本晃輔、長谷川志、

齋藤慎平、山田隼平、星和利、松本こうせい、金子久美子




入口のスタンド花の一部。






<あらすじ>


彼は蒸気機関車が好きだった
大きな鉄の輪に乗って、勇ましく駆けてゆく姿を

陸橋の上から暗くなるまで眺めていた。
未来を運ぶ黒鉄の、溢れる思い、汽笛に乗せて

手の平の方位磁石はいつもの通り進むべき
方角を指し示してくれています。







前回公演の時は当日券も余裕があったけれど、

吉田鋼太郎さんのドラマ、CM出演が多くなったせいなのか

今回は早くから全日程完売のお知らせが出ていたので

今後はチケットがとりにくい劇団になっていくのだろうか…

前から3列くらいセンター部分の座席をとりはらい

蒸気機関車の運転席部分を再現。

石炭に見立てた石?が積み上げられていた。





徘徊癖のある痴呆老人・鈴木昭一役の鋼太郎さん。

昭一の目の前で、昭和の始め、彼が出会った

人々が登場し、思い出の光景が繰り広げられていた。

老人にだけ見えている頭の中の光景。

鉄橋を渡る機関車を、遠くから見ている時の様子と

実際に機関士として乗車して、車窓から外界を見た時の

描写がとても視覚的に訴えかけるもので、セリフを

聞きながら、頭の中に光景が広がっていきました。






鋼太郎さんの、相手の様子をうかがう時や、ためす時に

よく出てくる、「あーれ~?」という言葉が好きで、

今回も聞けて二ヤけてしまいました ( ´艸`)

夜、見回りに来た鉄道社員ともみ合ったり、舞台から

客席に下りる階段を、下も見ないで下りてずっこけたり

石炭の山の中に飛び込んだり、と、言動に目が離せなかった。






戦争に突入して、せっかく育てた機関士達が、兵隊として

出兵していく中、定刻通りに汽車を目的地まで届ける、という

使命を忠実に守るところは、今の日本の正確な鉄道事情の

原点を見たような気がして、その情熱に胸が熱くなってしまった。

中腰のまま、スコップで石炭を投入するのはキツそうだったなぁ

訓練の時の、特訓→寮に戻る→朝食のおにぎりを食べて

出勤の高速繰り返しが面白かった。石炭投入試験の日は

口の中パンパンでモゴモゴな若者たち (≧▽≦)

交代で世話をする娘達が責任の押し付け合いで喧嘩したり

周囲をとりまく人の人間模様の描写もリアルだった。

痴呆がすすみ、記憶を失っていく姿に涙が止まらなかった。