1月24日(土)彩の国さいたま芸術劇場
18:30時開演の「ハムレット」を観に行きました。
演出のネタバレありますのでお気を付け下さい。
作 : W.シェイクスピア
演出 : 蜷川幸雄
<出演>
藤原竜也、満島ひかり、鳳蘭、平幹二朗、
満島真之介、横田栄司、内田健司*、たかお鷹、
山谷初男、大門伍朗、塾 一久、廣田高志、間宮啓行
妹尾正文、岡田 正、清家栄一、新川將人、星 智也、
野口和彦、浦野真介*、手打隆盛*、堀 源起*、
松田慎也*、砂原健佑*、竹田和哲* ほか
*…さいたまネクスト・シアター
<あらすじ>
デンマーク王が急死し、王の弟クローディアス(平幹二朗)は
王妃・ガートルード(鳳蘭)と結婚し、跡を継いで
デンマーク王の座に就く。父王の死と母の早い再婚とで
憂いに沈む王子ハムレット(藤原竜也)は、従臣から
父の亡霊(平幹二朗)が夜な夜な城壁に現れるという話を聞き、
自らも確かめる。亡霊に会ったハムレットは、実は父の死は
クローディアスによる毒殺だったと告げられる。
復讐を誓ったハムレットは狂気を装う。王と王妃はその変貌ぶりに
憂慮するが、宰相ポローニアス(たかお鷹)は、その原因を
娘オフィーリア(満島ひかり)への実らぬ恋ゆえだと察する。
父の命令で探りを入れるオフィーリアを、ハムレットは無下に扱う。
やがて、王が父を暗殺したという確かな証拠を掴んだハムレットだが、
母である王妃と会話しているところを隠れて盗み聞きしていた
ポローニアスを、王と誤って刺殺してしまう。オフィーリアは
悲しみのあまり狂い、やがて溺死する。ポローニアスの息子
レアティーズ(満島真之介)は、父と妹の仇をとろうと怒りを燃やす。
ハムレットの存在に危険を感じた王はレアティーズと結託し、
毒剣と毒入りの酒を用意して、ハムレットを剣術試合に招き、
秘かに殺そうとする。しかし試合のさなか、王妃が毒入りとは知らずに
酒を飲んで死に、ハムレットとレアティーズ両者とも試合中に
毒剣で傷を負う。死にゆくレアティーズから真相を聞かされた
ハムレットは、王を殺して復讐を果たした後、事の顛末を
語り伝えてくれるよう親友ホレイショー(横田栄司)に言い残し死んでいく。
<グッズ>
公演プログラム。表紙がハムレット役の藤原竜也さん。
中も読みごたえたっぷりで、勉強になった。
<タイムテーブル>
セットが、「太陽2068」の古ぼけた日本の貧しい二階建て
長屋のような感じで、ヨーロッパ感はあまり感じなかった。
以前観た某劇団の「ハムレット」のオフィーリアが、
母親かと思うくらい年配の方でガッカリした記憶がありましたが、
満島ひかりさんのオフィーリアは、可憐な花のように
かわいらしかったのでなおさら気がふれた姿が憐れでした。
シェイクスピアなので、身構えましたが、笑えるシーンが
たくさんあって、ボロ―ニアス役のたかお鷹さんは、
何度も他のキャストに頭をなでなでされたり、
城に役者が来て、ジュリアス・シーザーの話になった時、
竜也君が「神殿で、死んでんのか」とオヤジギャグを言ったり
役者の説明台詞が、歌舞伎口調で、語った後、
ポロ―ニアスが一言「長すぎる」とコメントしたり、
背格好が似ていて、同じ服を着た従者二人が、
名前を間違えられてあたふたしたり…
ハムレットの「尼寺へ行け!」のシーンは、言うたびに
去ると思いきや、一度締めた引き戸からまた飛び出してきて
セリフを言って、「尼寺へ行け!」「さようなら…」を
繰り返し、5、6回?すごくシリアスなシーンなのに
動きはコントのようで、面白かった (≧▽≦)
バックで流れる曲は、グレゴリウス聖歌?や、お経、三味線か、
琵琶のような和物楽器等、バラエティーに富んでいて
不思議な雰囲気。そして久々に見たスローモーションシーン。
城の中で行われる芝居は、歌舞伎で使われるオレンジと黒と緑の
幕がかけられ、それが取り払われると、平安朝の服を着た
七段人間雛人形が登場。奇抜な演出にビックリした。
クローディアス役の平幹二朗さん、懺悔のシーンでは、
舞台に置かれた日本風の井戸から水をくみ上げると、
上着を脱ぎ、白い腰布だけになり、水を頭からかぶり、
びしょ濡れ!寒そうだった(>_<)会場がビックリしてザワつきました。
竜也君のハムレットがあまりにも激しくて
本当に気がふれているように見えてしまいました。
黒い衣装の首元が汗と唾だらけでキラキラ光って
最前列のお客さんは恐ろしかったかも…
何かにとりつかれたように、大きく見開いた目に
狂気の色を感じて、亡霊よりもはるかに怖かった。
母・ガートルードが、寝室でハムレットになじられるシーン、
二人の口調と感情がだんだん高まっていく様子に
ハラハラ。人は愛情が強すぎると、裏切られた時に、
それが憎悪となって何倍もに増幅されてしまうんだな、と感じた。
「ハムレット」を観ていると、男の子にとって母親の
言動というのは、その後の女性観に激しく影響するくらい
重要な事なのかも、と感じました。
公演プログラムの、鳳蘭さんのコメントが、
母親の心理をするどくついていて、とても共感しました。
シェイクスピアは苦手でも、このような演出だと、
最後まで集中して観てしまう。すごい舞台だった。