9月20日(土)天王洲銀河劇場13時開演の

「アルジャーノンに花束を」を観に行きました。







原作 : ダニエル・キイス
脚本・作詞・演出 : 荻田浩一

出演 :浦井健治、良知真次、森新吾、高木心平、

桜乃彩音、 秋山エリサ、吉田萌美、宮川浩、安寿ミラ




<あらすじ>


32歳の知的障害のあるチャーリーは、手術によって、

驚異的な知能指数を獲得した。一般教養、ついには

複数の原語、あらゆる科学まで理解し、学者をもしのぐようになる。

だが同時に、封じていた過去の記憶にも襲われるようになる。

過去と未来に苛まれる彼は、天才ネズミのアルジャーノンに

心を開いていく。 急激な知能上昇で得たものと失ったもの、

そしてその結末とは…




<タイムテーブル>




公演プログラムは2000円。





ダニエル・キイスさんの作品では「24人のビリーミリガン」を

読んだ事がありますが、「アルジャーノンに花束を」は

読んだ事がなく、舞台も初見でした。

純粋で無垢なチャーリーと、手術後、知能が発達し、顔つきも

目つきもするどく変わったチャーリーが同一人物に見えなくて、

ビックリした。浦井君ホントにすごい…なんとなくほんわかした

雰囲気なのに役柄で豹変するのってリアル北島マヤみたい…

ネズミのアルジャーノンはずっとチャーリーの傍らで

踊り続けます。途中から、知恵遅れの頃の

チャーリーの意識役。黙役なのに、存在感があった。

良知君はじめ、研究所のスタッフ達は、丈の長めの

研究着を着ていて、それを脱ぎ着して、パン屋さんの

店員になったり、と、一人何役もこなしていて忙しそうでした。







かしこくなれば皆から好かれると思ったのに、

知能が高くなりすぎて逆に周りに不安感と劣等感を

与えてしまい、敬遠されてしまうのは見ていて切なかった。

そして高度な医療知識まで習得してしまったから、なおさら

知能が元に戻る過程を体感していくのは想像を絶する恐怖だったろう。

チャーリーの焦燥感が伝わってきて、とてもつらかった。







人は人と接する時、無意識の内に相手よりも

優位に立てる条件のようなものを探してしまうのかな。

チャーリーのような人が周りにいたとしたら、

自分はどの登場人物のように接するのかな、とか、自分が

チャーリーの母親の立場だったら、全力で守ってあげられるのか

とかいろいろと考えさせられる話だった。

親の言った何気ない一言を引きずって一生苦しめられたり、

親子の間に救いようのない溝を作ってしまったりする事もあるのよね。

自分も母親として子供にどう接してきたか振り返ってしまった。








チャーリーの、”元のチャーリーが近くにいる”、という表現が

「24人のビリーミリガン」の、意識統一がなされる前の、

バラバラになっている状態の表現に似ていると思った。

チャーリーは知能が低くても、皆から愛されるチャーリーに

戻って良かったのかな…あどけない笑顔に涙が止まらなかった。

知能が元に戻った後、かしこかった頃に恋心を抱いていた

読み書きの先生、アリスを見て、一瞬意識が戻ったように

「アリス…」とつぶやくシーンがあるけれど、あれは何だったのだろう。

アリスに恋をしていた頃の記憶がよみがえったのかな。







ラストの「どーかついでがあったらうらにわの、

アルジャーノンのお墓に花束をそなえてやてください」(ノω・、)

この言葉にすべてが集約されているようで、チャーリーが

アルジャーノンとの出会いを通じて、人と共感する気持ちや

思いやりの心が芽生え、元の知能に戻ってもその気持ちは

残っていたという事が分かる言葉だったような気がする。

終演後に明るくなると、目を真っ赤にした人がたくさんいました。

胸を打つシーンがたくさんあって、メッセージ性の高い

素晴らしい舞台だった。

あぁ…思い出したらまた泣けてきた (ノ_・。) しばらくひきずりそう…