6月4日(水)さいたま芸術劇場13:30開演の
「海辺のカフカ」を観に行きました。
ネタバレがありますのでお気を付け下さい。
<オリジナルグッズ>
<タイムテーブル>
原作 : 村上春樹
脚本 : フランク・ギャラティ
演出 : 蜷川幸雄
<キャスト>
宮沢りえ、藤木直人、古畑新之、鈴木 杏、柿澤勇人、高橋 努、
鳥山昌克、木場勝己、新川將人、妹尾正文、マメ山田、塚本幸男、
堀文明、羽子田洋子、多岐川装子、土井睦月子
周本絵梨香(さいたまネクスト・シアター)、
手打隆盛(さいたまネクスト・シアター)、
松田慎也(さいたまネクスト・シアター)
<あらすじ>
主人公の『僕』カフカ(古畑新之)は、自分の分身ともいえる
カラス(柿澤勇人)に導かれて「世界で最もタフな15歳になる」
ことを決意。15歳の誕生日に父と過ごした家を出て、
四国へ渡るのだった。そして、身を寄せた甲村図書館で、
司書を務める大島(藤木直人)や、幼いころに自分を置いて
家を出た母と思われる女性・佐伯(宮沢りえ)に巡りあう。
一方、東京に住む猫と会話のできる不思議な老人
ナカタさん(木場勝己)は、近所の迷い猫の捜索を
引き受けたことがきっかけで、星野(高橋 努)が運転する
長距離トラックに乗り四国に向かうことに。
それぞれの物語は、いつしか次第にシンクロし…。
「海辺のカフカ」は本を読んだ事がなく、前回の舞台も
観ていなかったので、今回が初見でした。
衝撃的なシーンがたくさんあって、想像していた以上のものを
観る事が出来た気がします。本を読んでみたくなりました。
透明なケースの中に、場面のセットが設置されていて、
それを動かすことで場面展開がスピーディーに
行われたので、カフカと、老人・ナカタさんのシーンが
同時進行可能になり、集中できてものすごく入り込みました。
前から3列目のドセンターだったので、奥からセットが
近づいてきて、客席ギリギリまで来るので迫力がありました。
猫達と話が出来るナカタさんと、着ぐるみ猫のトークは面白かった。
木場さんのナカタワールドに終始ひきこまれまくり。
猫達がキモかわいかったけどちょっとリアルで怖かった。
オペラ好きの飼い主に飼われているので、オペラ「ラ・ボエーム」
からとった名前をつけられた品の良い猫、ミミ。
猫達にもそれぞれのストーリーがあって、興味深かった。
ジョニー・ウォーカーが猫を殺すシーンは、血しぶきが飛んで
すざまじかった。 残酷すぎて背筋が何度ゾッとした事か!
そして気の狂った人というのは、たいてい、
最後には「自分を殺してくれ」って言うよね
カフカ役の古畑新之さんは、大人と子供の中間のような
母性本能をくすぐられるような不思議な雰囲気を持っている方。
バスの移動中に出会った、鈴木杏さんが演じる”さくら”
との就寝前のシーンは生々しくて衝撃的だった。
宮沢りえさん演じる佐伯とのベッドシーンは
風で舞うカーテンごしの二人はとても幻想的で、
全くいやらしさを感じなくて美しかった。
こんなに美しいべッドシーンを舞台で見たのは初めてかも…
かたや、トラックの運転手・星野と、売春婦との行為は
周りのケースがガタガタと音を立てるほど激しすぎる為、
客席もウケていて、面白かった。これはこれで本能的で良かった。
宮沢りえさんは本当に綺麗だった。50代の役も、若い頃の役も
全く違和感なく、どちらも身震いするほど美しかった(´∀`)
瞬時に涙を流せるところは、女優さんてやっぱりすごいと思った。
大竹しのぶさんもそうだけれど、泣いても
化粧がくずれるような事はなく(舞台メイクだから当たり前なんだろうけど)
鼻水など出る事もなく、大きく見開いた瞳から、
大粒の涙がハラハラと落ちるさまは美しくてみとれてしまいます。
カフカと親子を確認し合うシーンでは涙腺がユルユル。
音楽の効果も相まって感動…(T_T)
図書館司書の藤木さんの、カフカへの接し方が保護者のように
包容力があって、カフカを見つめる目も優しくて素敵だった(´∀`)
歌を歌わないカッキーは初めて観たけれど、
カフカを常に見守りながら、熱く語りかけるカッキー、
すごく良かった。ラスト近くの、霧雨のような
雨の中、カフカとカラスの二人きりのシーンが印象的。
カッキーのシェイクスピアも観てみたい。
”入り口の石”の行方を追って、ナカタさんと
謎解きに参加した気分を味わえて楽しかった。
ネクストシアターの役者さん方の熱演も素晴らしかった。
神話や、ユダヤ人虐殺のホロスコースト、謎解き、日本兵達、
黄泉の国、いろいろな話がちりばめられていて
迷宮に迷い込んだような不思議な舞台でした。
森の中や、雨のシーンの美しい舞台美術に圧倒されっぱなし。
どのシーンも脳裏に焼き付いていて、
五感に訴えかける素晴らしい舞台でした。