2月8日(土)新国立劇場、小劇場18:00開演の

ミュージカル「ザ・ビューティフル・ゲーム」を観に行きました。

上演時間は一幕85分、休憩20分、二幕75分。






音楽:アンドリュー・ロイド=ウェバー
脚本・作詞:ベン・エルトン
翻訳:黒田絵美子

演出:藤田俊太郎

出演 : 馬場徹/平方元基/藤岡正明/

小野田龍之介/中河内雅貴大塚千弘/

フランク莉奈/野田久美子/谷口ゆうな/吉原光夫
逢沢優/浅川文也/伊藤典子/北川理恵/北村毅/

高橋卓爾/藤岡義樹/宮垣祐也



<あらすじ>


北アイルランドの貧しい町ベルファスト。
1969年のベルファストはIRA(北アイルランドの独立を

訴える過激派)の活動が盛んな町でもあった。
「ザ・ビューティフル・ゲーム」は、この町の高校の

サッカーチームの少年たちとそのガールフレンドたちの物語。

彼らはテロに巻き込まれるなど、度重なる危険や

苦悩の末、ついに栄光をつかむ。しかしサッカーチーム

優勝パーティーの後、仲間が過激派に殺される。
そしてIRAに参加する者や、そのIRAの友人に誘われ、

結果的にテロの手助けをしてしまう者…。
この貧しい、危険な町から出て行きたがる者。
それでもここは自分たちの故郷、自分たちの

国だからここで暮らしたい… という者。
できれば、平和に… そんな若者たちの

3年間を描いたミュージカル。



公演プログラムは1500円。






舞台が劇場の真ん中に設置されていて手前側と

奥側の両方向から見る事が出来るようになっている。

バンドは舞台下手に設置。

席がD5列の下手サイドだったけれど、劇場自体が

こじんまりしていることと、キャストが通路を行ったり、

来たりするので、それほど遠くは感じず、楽しめた。





アイルランドが舞台ということでしたが、アイルランドというと、

アイルランド紛争と、アイリッシュダンス、ENYAとケルティック

ウーマンくらいしか思いつかないままの観劇。

プロテスタントとカトリックの対立やIRAが出てきて、

ミュージカルじゃなかったら重すぎて

陰鬱になってしまうテーマだったかも…(-_-;)

このミュージカル、何度か書き変えられ、現在の英語の

タイトルが「THE BOYS IN THE PHOTOGRAPH」

というだけあって、冒頭の写真撮影シーンがラストにつながる

重要なシーンになってくるのですね。




アイルランドがサッカーが有名だということは知りませんでした。

馬場君はリフティングが上手だった。

ジョン(馬場君)とメアリー(野田さん)の結婚式で

踊られたアイリッシュダンスに感動。

吉原さんは、貫禄のある神父さん。

刑務所の看守役の時はジャベールを思い出した。

藤岡君の能天気っぽいキャラに癒された。

愛されキャラなのに、1幕で暴行を受けて亡くなるんですね。

フランク莉奈ちゃんは、ウブなジュリエットのイメージが

強かったけど、この舞台では真逆で大人っぽかった。

莉奈ちゃんがカトリックで、平方元基君がプロテスタント

ということで、周りから反対されるところが、

まるでロミオとジュリエット。





ブロ友さん方のレポを見て楽しみにしていた、

客席で行われる、二人のファックシーンは、

残念なことに私の席からはほとんど見えませんでした。

ジョンとメアリーの初夜のシーンは、

揺れる大きな白い布に覆いかぶされて、

芸術作品のように美しい演出なのに比べて

元基君と莉奈ちゃんのそれは、

直球型で激しくて何だかギャップがすごい(@_@)

二人の間には赤ちゃんが生まれるのですが、

女性陣は全員、赤ちゃんを抱くのも、あやすのも

様になっていて慣れている風ですが、元基君が

赤ちゃんを抱っこするシーンは、抱き方が

ぎこちなくて、初々しく、新米パパしていました ( ´艸`)

あのシーンはあえてそうしたのか、本当に慣れていないから

抱き方がぎこちないのか、分かりませんが。





サッカー部の部室のシーンや、女子三人で集まる

ガールズトークのシーンは、ドラマ「Glee」のように

青春しているけれど、後半は仲間だと思っていたのに

対立したり陥れたりと、悲しい展開になる。

「ロミオとジュリエット」や「ムサシ」同様、復讐の連鎖は

誰も幸せになれない、という事を教えてくれる舞台。





歌はアンドリュー・ロイド・ウェバー作曲ということだけあって、

メロディが美しくてなじみやすい曲ばかり。

「この国は神の国~」という歌詞の

♪GOD’S OWN COUNTRYは、

ミュージカル「アスぺクツ・オブ・ラブ」の

♪LOVE CHANGES EVERYTHINGとメロディが

よく似ているのでビックリ。この曲は1幕と2幕、両方で歌われるが、

これを聴くと、ロイドウェバー作曲なんだなぁ、と実感。





ラストでは、また冒頭の写真撮影シーンになる。

亡くなった藤岡君演じるジンジャーや、

中河内君演じるトーマスも出てきて泣けてきた。

どこでどう歯車が狂って、皆バラバラになってしまったんだろう。

このシーンは、ミュージカル「メリリー・ウィー・ロール・アロング」

の原点回帰のラストのシーンのようで、何だか胸を打つ。





今のアイルランドってどうなっているんだろう、と思って

調べてみたら、未だに対立の芽は根深く、

同じキリスト教徒でも、住む地域が分かれたままで、

プロテスタント系地区にはイギリス国旗、カトリック系地域には

アイルランド国旗がかかげられ、住民同士のトラブルを防ぐための

「ピースライン」と呼ばれる高い壁が、ベルファスト市内だけでも

50ヶ所以上に設置されているとの事。

このような現状を見ると、宗教対立もなく、カースト制のような

身分制度も、それによる差別も無く、安全で言論の自由も許される

現在の日本に暮らせて幸せだな、と心から思いました。