11月9日(土)シアターオーブ18:30上演の
「鉈切り丸」を観に行きました。
エレベーターを昇り切って劇場の入り口付近に着いたら、
いのうえひでのりさんが、こちら向きに立っていらっしゃって、
「あああーーーひでのり様!」と心の中で叫び声を上げる!
ガラス越しにエレベーターを上がってくる人をジッとみつめていました。
初日ではないけれど来られているんですね。
ネタバレ部分(特に演出)が含まれますので、気になさる方はとばして下さい。
脚本 : 青木豪、 演出 : いのうえひでのり、 音楽 : 岩代太郎
出演 : 森田 剛/成海璃子、秋山菜津子/渡辺いっけい/
千葉哲也、山内圭哉、木村 了、須賀健太、宮地雅子/
麻実れい/若村麻由美、生瀬勝久 ほか
<あらすじ>
時は平安、近江国。鳶の鳴き声が響く中、源範頼(森田剛)は、
その姿醜く、顔には痣、背中に瘤。さらには片足を引きずり、
馬にさえ乗れない。幼名は鉈切り丸(まる)。
へその緒を鉈で切られたことから由来する。幼少の頃から
鉈を振り回して剣術を覚え、その姿からは
想像及びもつかないほど見事な剣さばきである。
義仲の妻・巴御前(成海璃子)は、目の前で範頼に夫を斬られるが、
夫への忠誠を尽さんと気丈に振舞う巴に、心奪われる範頼。
時は経ち、所変わって鎌倉。範頼の兄・源頼朝(生瀬勝久)は、
弟・源義経(須賀健太)と家臣・梶原景時(渡辺いっけい)、
和田義盛(木村了)に壇ノ浦の戦いで平家を滅亡させた様子を訊ねている。
安徳天皇の母・建礼門院(麻美れい)の生き霊に取り憑かれ、
一切を語ろうとしない義経の身を案じて範頼は、頼朝と頼朝の妻・
北条政子(若村麻由美)に、義経の京都行きを提案。
これは義経の兄への忠義を試すための策であることを耳打ちする。
頼朝と政子は、この一件を機に範頼に絶大なる信頼を置くようになる。
京都にて朝廷から頼朝よりも先に官位を授かった義経とその一行は、
鎌倉へ帰る途中に女郎屋へ立ち寄る。おかみ(宮地雅子)から
義経の忠臣・武蔵坊弁慶(千葉哲也)にあてがわれたのは
逃げ延びた巴御前と、範頼の母・イト(秋山菜津子)だった。
イトから範頼出生の秘密を聞いた巴は、仇討ちの策を練っていた。
そこへ、義経に謀反の濡れ衣を着せて討とうとやってきた範頼。
送り込んでいた密使が討ち取られたのを知り、義経に寝返るふりをする。
↑あらすじ、あらかじめ読んでから行こうと思ったけど、
漢字が多すぎて訳分からなくて途中でオエってなったのでやめた。
リチャードⅢ世の時代劇版っていうから身構えたけど、
笑えるところがたくさんあって面白かった。
生瀬ワールド炸裂。書記?の山内圭哉さんは生瀬さん演じる
源頼朝と話す時はどもってしどろもどろなのに、
書いた記録を読んだり、状況を説明する時はラップになったり、
低音の響く良い声になったり、二人の掛け合いが面白くて笑った。
生瀬さんが若村麻由美さん演じる北条政子に頭が上がらなくて
オドオドする様子も面白くてツボだった。
鉈切り丸の森田剛君は、最初声を聞いた時、スネ夫っぽいと思った。
目をつぶって声だけ聞くと、ヤンキーがくだをまいているように
聞こえなくもないような感じで、時代劇ものなのに
あまりセリフに抑揚がなくて物足りなくも感じたが
見ていくうちにだんだん、鉈切り丸のイメージにしっくりくるように
なってきて、抑え気味のセリフの言い回しも、ふつふつとわき出る
世の中への怒りや、やりきれなさが感じられてむしろ良かった。
実際に鉈切り丸という人物がいたら、こんな感じだったんだろうな、
と想像できるような自然な演技で良かった。
成海璃子さんは声が裏声気味でセリフが少し聞き取りにくかった。
遊女たちや武士のダンスシーンがあったり、
着ぐるみを着たキャストが出てきたり、
衣装もカラフルでスタイリッシュだったりして、
内容のわりには暗さや、陰湿さは感じなかった。
殺陣も空を切る音や、刀の触れ合う音と共に、
ドラマティックな音楽が大音量に流されるので迫力満点。
キャストが切られる瞬間はそこだけ赤いスポットライトで照らされる。
鉈切り丸の残虐性は見るに耐えない所もあり、レイプシーン、
妊婦の腹を蹴って、殺すシーンなど、目をおおいたくなるような
場面もあり、血しぶきもたくさん飛んで、リアリティがあった。
ラストの雨が降りしきる中の大立ち回りは圧巻!
下にたまった池状の中でバシャバシャと水しぶきをあげて
殺陣をやるので、皆ビショビショ。
血のりも大量に使うので、水が赤く染まってすごかった。
剛君、赤く染まった水の中でもがき苦しんだ後、息絶える。
毎日衣装をつけたまま水びたしって…風邪をひきませんように…
舞台は上手と下手の2階に御簾がかかっていて演奏者ブースになっている。
奥行きがある舞台を木で覆われた生垣をふすまのようにしきることによって
前面部で演じている間に、後方で次のシーンの準備をし、という感じで
暗転がなくスムーズに場面展開がなされていた。
ライトの当て方や、演奏を入れるタイミング、選曲、
効果音などは劇団☆新感線のようだったな。
来年の3月公演の前の、プレ新感線公演のように感じた。
<グッズ>
<コラボドリンク> 異端児、野心