8月31日(土)本多劇場14時開演の「悪霊~下女の恋~」を観に行きました。
上演時間は休憩無しの2時間10分
ネタバレ部分がありますので、気にされる方はとばして下さい。

<作・演出> 松尾スズキ
<出演> 三宅弘城、賀来賢人、平岩紙、広岡由里子

<あらすじ>
関西にある架空の都市。ウネハラ家の息子・タケヒコ(三宅弘城)は、
学生時代からの友人・ハチマン(賀来賢人)とお笑いコンビを組んでいる。
売れない芸人であった二人に、ようやくTV出演という
ビッグな仕事が転がりこんできた頃、
母・キメ(広岡由里子)との二人暮らしであったウネハラ家に、
タケヒコの婚約者・ナミエ(平岩紙)が訪れる。
これから全てが順調にいくはずだったウネハラ家だったが、
突然の彼女の出現により、母と子・友人との間に
微妙なズレが生じ、やがてその予兆は不幸な事故となって
4人に襲いかかることに…。
公演プログラムは800円
今日は最前列センター!キャスト(特に賢人君)目当てでの
観劇だったので、目の前で見れて良かった~≧(´▽`)≦
初演が1997年(タケヒコ役が池田成志さん)再演が2001年
(タケヒコ役が宮藤官九郎さん)で、今回が再再演の上演だったらしい。
三宅さんと賢人君は漫才コンビ、という設定なので、
関西弁でボケとツッコミが続き、最初は面食らった。
賢人君の関西弁はよく分からないけど、実際に関西の人が聞くと、
違和感があるのだろうか…
バナナの皮で滑るネタや、紙ちゃんが苺を食べては苺を口から飛ばして
吹き出す場面があったり、動き的にはベタな感じなのですが、
セリフが面白くて大笑い。
賢人君演じるハチマンは、タケヒコの女にすぐ手を出す性分。
いけないと分かっていながら止められない。
紙ちゃん演じるナミエと大人の関係になる。
紙ちゃんはやけにエロいんだけど、なぜか賢人君にはあまりエロさは
感じないんだよな~。さわやか過ぎて、弟と姉みたいだったな~
役作りに苦労していたようですが、タケヒコに頭が上がらなくて、
でもどこかで見返したい、というような複雑な役が、
分かりやすくて良かったと思う。
タケヒコの母親役の広岡由里子さん、紙ちゃんとコテコテ漫才が面白い。
死後も続く母性愛に、ゾッとしつつ、逸脱した息子への愛情に
そこまでやるか、的な所もまたおかしくて笑える箇所がたくさんあった。
家政婦役では、賢人君に恋心を抱く。途中、ミュージカルタッチになって、
若々しい衣装に着替えた広岡さんが、スポットライトを浴びて歌い、
踊り出すミュージカルの劇中劇パロディが面白い。振付や動きだけは
ミュージカル風だが、歌がビミョーに音がはずれて下手 (≧▽≦)
間違って媚薬を飲んで発情した賢人君に襲われ、はらむ。
平岩紙さんと松尾スズキさんコンビは「ふくすけ」以来久々に観た。
松尾さん演出の平岩さんの役どころは絶品で魅力的に映る。
長い髪をゴムでしばったり、ほどいたりするシーンがやたらと多く、
白いうなじがチラチラ見え隠れ…すごく色っぽい( ´艸`)
タケヒコがいない間の情事。後姿のまま賢人君とキスしながら
スカートをめくられてストッキングごしにパンティが丸出し!
煙草を吸うシーンも板についていて、悪女っぽくカッコイイ。
タケヒコの婚約者なのに、ハチマンと浮気して子供まで作ってしまう。
何を考えているのか分からなくてミステリアスでセクシーだった。
タケヒコとハチマンの関係は正妻の息子と妾の息子という複雑な間柄。
タケヒコが半身不随になったあたりから物語がだんだんヘビーな方向へと
変化していくのですが、絶対に笑いの要素が入らないと思われる
状況の中でも、笑わずにはいられない演技を盛り込むところが
松尾スズキさんて本当にすごいと思った。
ストーリーが重くて壮絶なのに面白い。陰なのに陽。悲劇なのに喜劇。
女装した三宅さんが歌うかつての同級生「井上のテーマ」が面白くて最高。
♪井上部に入ろう~ ♪井上弁をしゃべろう~ ♪井上狩りをしよう~
♪井上の中に入って仕組みを知ろう~ 歌詞がエスカレートしていく。
この歌は1回聞いたら耳について離れないよ~(>_<)
三宅さん意外と歌上手い!賢人君の歌は「RENT」で聴いた事があるので、
上手いのは知っていたけど。二人でハモって延々と井上の歌を歌う。
最後の終わり方が血まみれで背筋がゾッとしたけど、狂喜と笑いが
入り混じった松尾さんの舞台は一度観たらやみつきになる。
カテコには松尾スズキさんが出てこられて、キャスト以上の拍手が
おこっていました。キャストの愛憎が複雑に絡み合って、
内容がとても濃い舞台でした。