今日は本多劇場13時開演の「あかい壁の家」を観に行きました。

上演時間は休憩無しの2時間30分。



日常&観劇日記


<あらすじ>

宮城の漁師の息子である代用教員の凡平(中川晃教)は、
祖父がある女性に宛てた手紙を届ける為に、
イタリアのポンペイの地を訪れていた。
その頃、ポンペイのオデオン小劇場では、東野味噌による社運をかけた
ロックミュージカルのオーディションが行われていた。
そこへ70年間オーディションを待ち続けた謎の女性(緑魔子)があらわれる。
姉にたきつけられてオーディションに参加する事になった凡平は
そのオーディションに合格し、主役に抜擢される。
さらに、花婿を待ち続ける獣医、福島からやってきた家族、
関西人の結婚式の一団を巻き込みながら稽古が進んでいく。
過去・現在・劇中劇が入り混じり、音楽とともに場面が展開していく。
ポンペイと東北のある港町。2つの街がつながり、1つの旋律でよみがえる。


<作 ・ 演出>  渡辺 えり

<劇中劇作曲>  中川晃教

<出演>

中川晃教、高岡早紀、馬渕英俚可、稲荷卓央、土屋良太、田根楽子、若松武史、
緑魔子、渡辺えり、奥山隆、瑚海みどり、石田恭子、小出奈央、佐藤友紀、
石山知佳、川口龍、大鶴美仁音、泉佑里奈、小倉卓、形桐レイメイ、金宮良枝、
kiyoka、栗山絵美、佐川守正、十倉彩子、林田航平、藤本沙紀、宮島朋宏

生演奏 バンドネオン : 川波幸恵



この話は渡辺えりさんがイタリアのポンペイに行った時に、火山の噴火で
亡くなった人々の遺体の石膏型を見て、
東日本大震災を思い出して書いたという作品。
この2つの都市を結びつけるところが少々ムリヤリ感があるような気がした。
そこに時間が前後して出演者が過去に行ったり、現代に戻ったりするので、
気を抜くと時間の流れが分からなくなった。
前半はコントかと思うくらい、笑える場面が満載なのですが、
後半にいくにつれて、いろいろな事がたくさん盛り込まれて難解になった。
1回観ただけではすぐには理解できないかも…




セットは舞台の両サイドに階段と二階建て舞台があって、
中央にはキーボード、上手側にはドラム。
舞台が始まると、アッキー(中川晃教)がバンドネオンの演奏に合わせて、
キーボードを弾きながら歌いだす。アッキーの歌声はすごい久しぶり。
アッキーの歌の表現力って本当にすごい。声もやさしくて萌え死にそう(´▽`)
低音→高音、高音→低音になる時の声がセクシー。
もうこのままずっと聴いていたい。でも祖父が残した楽譜は未完成で、
アッキーの歌も途中で終わる。もっと聴きたかったので不完全燃焼。
他の楽曲もミュージカルのようにソロで1曲まるまる歌いあげるというよりは
劇中劇の中でちょろちょろ歌ったり、デュエットしたりという感じ。
凡平役ではさえない恰好で、リュックをしょって、自信がなさそうな青年
という役なのに、劇中劇では銀の装飾がある白のスーツに身をつつみ、
女奴隷達の主人役。歌いながら命令したり、馬乗りになったりと、
オレ様風のアッキーもギャップがあってとても良かった。





アッキーの姉役の高岡早紀さん、弟思いの素敵なお姉さんだった。
チャキチャキした役でしたが、とても似合っていました。





東北から来た観光客の一人、佐川守正さん、ただのおじさん役と思いきや、

いきなり歌いだし、その声量と歌声の素晴らしさにビックリ!

後で経歴を見て、またまたビックリ!国立音大大学院でオペラを専攻された後、

イタリア政府奨学金にて留学、フランスでオペラデビュー、劇団四季で

「キャッツ」、「オペラ座の怪人」等でメインキャストを演じるなんて書いてあって…

どうりで上手いはず、と納得!






渡辺えりさんは舞台で初めて観ましたが、歌が上手かった。

芝居をやりたくて上京した時に舞台、「盲導犬」を観て、

その後の芝居人生に影響されたとおっしゃっていたという事もあり、
今回の配役も、アングラで活躍してきた役者さんが多く出演しているのですね。

緑魔子さんは、渡辺さんからラブコールを受けて、13年ぶりに

舞台に立たれたとの事。年齢を感じさせない可愛らしい声なのに、

すごい存在感だった。






言論を弾圧されていた演出家役の若松武史さんが、

犬がいないのに、首輪だけ手に持って叫ぶところはアングラっぽい。

言論を弾圧された、とか、ゲルニカがどうとか、

政治的なセリフもあちこちに散りばめられていた。




公演プログラムは1200円ですが、古代ポンペイでの生活の様子や、

東北の歴史、福島の現状、渡辺えりさんがインタビューする、

緑魔子さん、若松武史さん、田根楽子さんのアングラ座談会等の記事もあり、

読み応えがありました。






今回はアッキーの歌目当てで行ったのですが、思ったより歌うシーンが

少なくて、なんとなく物足りなかった。舞台観劇だけで、いぱいいっぱいで、

役者さん単独のライブやコンサートまで広げられない状態ですが、

12月のアッキーのコンサートには絶対に行きたいな、と思いました。