今日は新国立劇場小劇場14時開演の「象」を観に行きました。
休憩無しの2時間10分
公演プログラムは800円
<作> 別役 実
<演出> 深津篤史
<出演>
病人:大杉 漣
男:木村 了
看護婦:奥菜 恵
通行人1:山西 惇
通行人2:金 成均
白衣の男1/リヤカーの男:野村修一
白衣の男2:橋本健司
病人の妻:神野三鈴
医者:羽場裕一
<あらすじ>
入院中の「病人」(大杉 漣)をその甥である「男」(木村 了)が訪ねてくる。
「病人」は広島への原子爆弾による被害者で、街頭で裸になって背中のケロイドを
見せて喝采を浴びていたが、病状が悪化し、今は入院をしている。
「病人」はまた元気になってあの町でケロイドを見せたいと願っているが、
「男」は静かにそのときを待つべきだと主張する。
2人の生き方の違いを主軸に据えながら、「病人の妻」、「医者」、「看護婦」
など2人を取り巻く世の中の問題が見えてくる。
そして遂に「男」も発病し、「病人」の隣のベッドに入院することになる。
あくまでも行動的な「病人」とは対照的に、静かに死を迎えたいと願う「男」。
ある雨の日に、「病人」はあの町へ出かけることを決意する。
まず最初に舞台を観てびっくりしたのが、舞台一面に
うず高く積み上げられた古着の山。中央には「病人」が眠るベッドが一台。
古着の山は大量死を連想させ、役者さん達は古着をふみながら
移動したり、演技をしたり…古着を投げたりかき分けたり…
自分のセリフを言い終わると古着の上にバタっと倒れて横になり、
いきなり奈落にスーッと消えたかと思うと、違う場所からせりあがって
あらわれたりと、とっても不思議な舞台。
大杉さん演じる「病人」は、最初から最後までセリフがあって、
狂気と正気が入り混じっている激しい役どころ。
大杉漣さんを観たくて行った「二都物語」では、思ったよりも出番が少なくて
物足りなかった私ですが、今回はガッツリ、しっかり観る事が出来て大満足。
なかなか世界観を理解するのが難しい前衛的な舞台ではありましたが、
ケロイドを観に来た野次馬達に、激しく語りかけるように話すセリフが
迫力があって、圧倒されました。観客一人一人の目を見てうったえるので、
何度も目が合ったような気がする。
甥の木村了さん、ドラマ「間違われちゃった男」ではわりと軽めの役でしたが、
今回は感情を押し殺した静かな役。でもどんどん暴走してく大杉さんに
たまりかねて感情を爆発させ、ついには…
最後の30分はこの二人の掛け合いがすごくて入り込んだ。
静と動のふり幅が大きくてすごかった。
木村さんは、かなり不安があったようですが、大杉さん相手でも熱演で
セリフもしっかりしていて、素晴らしかった。
今後も注目したいです。「鉈切り丸」も楽しみ。
看護婦役の奥菜恵さん、あまりセリフはなくて、ずっと白いのっぺらぼうの
ぬいぐるみを持っていて、妙に存在感のある不思議な役だった。
山西 惇さん、実家に帰る「病人」の奥さんの寂しさを紛らわすために
近づく通行人の役。こちらも不思議な役だった。
もう一人の通行人、金成均さんと話をしている内に、
何にもしていないのにステッキでたたいて抹殺しようとする。
山西さん、少ししか出ていないのに、ものすごい存在感。
神野三鈴さん、とってもやさしいお声に癒された。
この修羅場の様な生死の境をさまよっているような舞台で
神野さんが話し出すとなんだかホッとする。おにぎりを食べるシーンが
たくさんあるから、毎日お腹いっぱいになっちゃいそうですね。
白衣の男2人に洋服を脱がされるシーンでは何が始まるのかとドキドキ。
ちょっと下着の様な服の脇がほつれてしまってヒヤヒヤしましたが…
羽場裕一さんは語り口調がやさしくて、こんなお医者様だったら
何も病気をしていなくても通ってしまいそう…と思った(´∀`)
最後、病人をあの町に送り届けるためのリヤカーが来たけれど、
「ちょうど良かった」と言って死体処理に使う時の表情が
急に冷たくなってヒャーっとなった。
今日はロミジュリの制作発表もあり、「象」を予約していなかったら
行きたかったけど、これだけの役者陣のガッツリした演技が観れたので、
大満足でした (*^o^*)
今日は帰りにいのうえひでのりさんを見かけて、あ、っと言ったら振り向かれて、
今思えば握手の一つもしてもらえば良かったと後悔…
今日は新たに2人のお友達も出来て楽しく、充実した一日でした。
