今日は世田谷パブリックシアター14時開演の「マクベス」を観に行きました
【スタッフ】原作=W.シェイクスピア 翻訳=河合祥一郎 構成・演出=野村萬斎
【キャスト】/野村萬斎/秋山菜津子/小林桂太/高田恵篤/福士惠二
マクベス : 野村萬斎、 マクベス夫人 : 秋山菜津子、
魔女1,2,3 : 小林桂太/高田恵篤/福士惠二
魔女と言っても男性3人なのですが…
今日はポストトーク(アフタートーク)付き
マクベスが魔女3人にそそのかされて、王を殺し、自分が王になったものの、
罪の意識にさいなまれながらも、復讐を恐れて王の親族を虐殺するが、
最終的に英国に逃げた王の息子によって殺されるという話
フライヤーも和紙のような感じ。折り紙の様に、折りたたむと
コンパクトになる作りになっている 
マイクは使わないで生声での演技(のように見えました)
最初、マイクの声に慣れていたので、物足りないように感じたものの、
皆さん、とてもセリフが聞き取りやすく、息遣いまでも
ストーリーの一部のような感じで、舞台にのめりこみました。
萬斎さんの低音の声がよく通って心地よかった。
普通にやると3時間はかかるようですが、1時間半に短縮してあり、
シェイクスピア初心者の私でも最後まで飽きずに観れました。
セリフがややこしいので、寝てる人もけっこういたけど… (^_^;)
衣装もセットも和の要素が取り入れられていて、舞台の中央には
一畳台(能の舞台で使われるたたみ一畳程の木造の台)が置いてあり、
水色で波と千鳥柄の着物の生地のような布でおおわれていました。
そこが部屋になったり、寝台になったり、玉座になったり…
衣装も皆さん袴姿で、着物のテイストを取り入れて、不思議な雰囲気
魔女役の3人はボロボロの衣装ですが、王や王の息子、家臣の役の時には
平べったい鞄の様な物を胸にかけて、魔女と人間の役を演じ分けていました。
魔女3人がマクベスをそそのかす計画を立てている時の
何かが起こりそうな様子や、マクベスが王を殺した後に、
幻覚を見たり、悪夢に悩まされる様子や、
マクベス夫人が錯乱し、夢遊病のように歩き回るシーン等、
狂気と現実が交差するシーンが多かった。
王の幽霊を表現するのに、赤い血がついた白塗りの面を使用したり、
太鼓の音を使ったり、魔女がまじないをかける時に用いる呪文が
リズミカルで、狂言のようにも聞こえたりと、奇抜な演出。
2010年の公演時には観なかったので、今回初めての
野村萬斎演出の「マクベス」はとても新鮮でした。
萬斎さんのコメント「きれいは汚い。汚いはきれい」
(劇中の台詞(せりふ))の表裏一体。
古典を再創造するとき、なぜ今やるかを考える。
森羅万象と対立する人間も、自然と共生する存在ではないか、との事。
私の感想は、魔女の予言によって、その通りに生きざるをえなかった
人間臭い欲望の塊の、マクベス夫妻、二人が亡くなった後、
舞台のセットが秋から冬に移り変わり、雪の中から花が咲き始める辺りに、
「平家物語」の無常感のような物を感じて、
人生ってはかないんだわ~と思ってしまいました。
後から余韻がじわじわと来る良い舞台だった~


