今日はシアタークリエ13時開演の「ピアフ」を観に行きました。
作 : パム・ジェムス 演出 : 栗山民也
出演 : 大竹しのぶ、梅沢昌代、彩輝なお、藤岡正明、小西遼生、
碓井将大、谷田歩、横田栄司、畠中洋、辻萬長 他
大竹さんの「ピアフ」、初めて観ましたがこんなにすごいと思わなかった。
20歳から47歳までのピアフを、衣装もメイクもほとんど変えず、
瞬時にその年齢になりきり、まるでドキュメンタリーを観ているようで
本物のピアフが現れたようでした。声も自由自在なんですね。
歌も魂がほとばしり出ているような感じで、言葉にならない位に
素晴らしかった。セリフとセリフの間が多い舞台でしたが、
その、間にも、いろいろな感情が感じられて、
ものすごい集中してのめりこみました。ピアフの感情とシンクロした。
「愛の賛歌」の歌は知っていますが、正直、この歌がなぜそれほどまでに
たくさんの人に愛されて、歌い続けられているのか分かりませんでしたが
ピアフの壮絶で命がけの人生を見て、終盤近くで歌った
「愛の賛歌」を聴いたら涙があふれて止まりませんでした。
会場中の人が涙をぬぐっていました。
ピアフを知って、初めてこの歌の良さが分かった気がします。
こんなに感情のこもった歌は聞いた事がないかも。本当にすごかった。
ピアフの友人役の梅沢昌代さんもすれっからしな下品な役どころでしたが
ずっと貧民街での生活が体にしみこんでいるかのような立居振舞いと声で
しぐさ、しゃべり方もあまりにも自然で、演技なのか地なのか
全く分からないとにかく素晴らしい演技。
彩輝なおさんのマレーネ・デートリッヒもピアフに
負けずおとらずものすごい存在感。
大竹さんの身の回りの世話をするよく気が付く、
やさしいマドレーヌと2役でしたが、キャラクターも声も違い過ぎて、
最初どちらも彩輝さんだとは気付かなかった位。大竹さんと二人で歌う
「バラ色の人生」はリアルマレーネ&ピアフだった。
すごいデュエットだった。
辻萬長さんも歌が上手くて、ダンディでした。辻さんがお父さんだったら
素敵だなと何度も思った事がある。あるいは、上司。
ピアフへの接し方がやさしくてジェントルマンで大好きです。
イブ・モンタン役の藤岡正明さんが歌った「帰れソレントへ」も圧巻
その前に歌うウエスタンもどきの
「ディープ・イン・ザ・ハート・オブ・テキサス」
で、失笑を買うという設定なので、ギャップがすごかった。
こちらも素晴らしい歌声に感動…
シャルル役の小西遼生君は、やわらかい物腰でピアフに接して、
ピアフをささえる。でもシャルルの将来を考えて、彼をクビにすることで、
自ら身を引くピアフ。スリル・ミーではドSの「私」役ですが、ピアフにクビを
言い渡されて、「一緒にいたい」とピアフの足元にすがって
離れない小西君、後ろ髪ひかれる思いで立ち去るシーン
せつなかったです…
碓井将大くんも大竹さんとの難しいデュエット、頑張っていました。
ピアフを看取る時の悲しそうな碓井くん、泣けました(T_T)
大竹さんは、「ピアフは歌も動きも多く、3時間近い舞台だけれど、
ピアフのセリフ、あたしが歌うときは、あたしを出すんだ。
全部まるごと、という言葉通り、歌っている時の解放感があり、
あまりしんどくは感じない」とコメントしていたのが印象的でした。
そして観終わった後、余韻でしばらく立てない位、
本当に素晴らしい舞台だった