旅から帰って休暇は終わる
下田の先お盆が過ぎてもクラゲのでない
白砂のビーチが点在していて
外海の大きな波音が好きで
家族は通い続けた西伊豆が好きで
結果伊豆ぐるり一周の旅となる。
視神経を痛めて車を基本運転しなくなったから
相方には負担をかける
やさしくしようと思いつつ
旅行前は仕事を必死で片づけて
苛々Max
これも老いの一種なのかな
大きな旅館があって
アクティビティも充実していてちょっとお高いけど
子どもたちが大好きで毎回泊まってる
もう一泊しちゃおうか
みんなでそういいながらも
部活をさぼらない真面目な長男
予定を崩さないその健康さは
私にはない尊さだと思う
夜中波音を聞いて和みながら
大きな波音の間に秋の虫の声
夏の終わりはいつもさみしい
東京湾の近くに生まれたものの
波音を聞いて育ったとは言えない
なんで海すきなのかな
自分のことは本当にわからない
浮き輪かボディボードで
足の届かない深さまで泳ぎ出て
海の色が深くなる少し手前
波頭の崩れる手前で
クラゲみたいにたゆたうのが好き
慣れた人にはたわいない波打ち際の遊びだけど
一歩間違えば太平洋に迷い出ちゃう
そんな不安感がたのしい
あ、やっぱ死ぬの怖いんだ私
そんなこと思ってどんぶらしてると
心配したこどものひとりに浅いとこまで引っ張ってかれたりして
素潜りを覚えた兄二人は
浅瀬の中魚をみつけてる
娘は日焼けそこそこに
笑いながら溺れかけてる
テニスも卓球もえらいこと上達して
兄妹間でラリーの応酬
視野を失った私は
すべてが消える魔球でできなくなった
でも楽しんでるこどもたちを喜べる自分でうれしい
あと何回
春の桜と
夏の海と
秋の山と
冬の雪を
愛でていられるんだろう
子どもたちと旅行に行けるのは
仕事の帰り道
娘がさみしいから早く帰ってきてというのに
進む足が遅くなる
自分の分くらい片づけなさいとか
宿題くらいやりなさいとか
気を抜くと愚痴が口をついてでることにうんざり
こうあるべき、と思うことへの
憧れと現実の乖離は著しい
こどもは健康でやさしい
そのことだけが
(わたしがちゃんとしてることとはイコールではなくむしろ逆なんだけど)
救い
この世界がすきなんだ、きっと
うんざりしてても、やっぱりきれいだよ
帰るところがあるから
旅はたのしいのだと
ひとり旅はいつでもできる
そろそろきれた旅券を更新しようか
ぐれて衝動的に飛行機に乗るのもいい
それくらいの悪だくみは自分に残そう
…失踪癖はないと思う、たぶん。