こういう歌をつむぐひとは

表現しないと生きられないひとなのだろうと思う


才能の多寡とは別に

それは羨ましくもありおそろしくもある


才能を持たないちいさな志井のひと

ひとりになりたがる夜中

喉が腫上がるまで叫びたいとか

動けなくなるまで絵を描きたいとか

片っ端から辞書を読みたいとか

代替行為が痛くてきつい

すべての人生は生きられないもの

闘わなければ負けることもない

きっと私はどこかでそう思っているのだ

スノッブな感受性を信じられないのは他でもなく




刺すような冷たいことばで

私はどれだけ切りつけたろう

泣きつかれたちいさなこどもの寝顔をみて泣いた

そんなことを思い出している







泣きたい黒い気持ちで過ごしても

暑い。

クーラーは身体がだるくなるけれど。



室内でもビルが古いせいか涼しいとこと暑いとこがあって

コピー室で窓際の送風口に思わず突進して

窓に頭ぶつけて私つくづくばかなんだなあと思う



それでも太陽光少しくらい浴びたほうがいいかなと

外に出ればみな顔がぐったりしてる(ように見える)

4車線の広い道路、交差点の街路樹の下には

何でこの季節に日本来ちゃったんだろう?って表情の外国人観光客

亜熱帯だよね、

こんな凶悪な暑さ、昔ここまでじゃなかったと思うのは

私も年齢くったんだ



夏に浮かれたのは

とおいとおい昔


玄関出た先の足元に

ミイラ化したヤモリの死体


家守ということばをあてた誰かがすき、ふと不安になる



陰影がくっきりとして

そのコントラストに

死臭を嗅ぎとる私は

たぶん健全ではないけれど

それはいきもの的にまちがいではない



目と耳を塞いで

彼の命日が駆け抜けた

茹でたとうもろこしをかじって

バラエティ番組に大笑い

そんな風に過ごすこともある


好きにはなれないけど

自分の雑多な薄情さのおかげで生き延びてきたわけだし。


さびしいのは

形はちがえどみなおなじ


自分のなかの主訴が愁訴に呪訴にならぬよう

適宜流しつつ交わしつつ

無視はできず

生きていくほかないのです。



ViVi 米津玄師


悲しくて飲みこんだ言葉 ずっと後についてきた
苛立って投げ出した言葉 きっともう帰ることはない

言葉にすると嘘くさくなって
形にするとあやふやになって
丁度のものはひとつもなくて
不甲斐ないや

愛してるよ、ビビ 明日になれば
バイバイしなくちゃいけない僕だ
灰になりそうな まどろむ街を
あなたと共に置いていくのさ

あなたへと渡す手紙のため
いろいろと思い出した
どれだって美しいけれども
一つも書くことなどないんだ

でもどうして、言葉にしたくなって
鉛みたいな嘘に変えてまで
行方のない鳥になってまで
汚してしまうのか

愛してるよ、ビビ 明日になれば
今日の僕らは死んでしまうさ
こんな話など 忘れておくれ
言いたいことは一つもないさ

溶け出した琥珀の色
落ちていく気球と飛ぶカリブー
足のないブロンズと
踊りを踊った閑古鳥
忙しなく鳴るニュース
「街から子供が消えていく」
泣いてるようにも歌を歌う
魚が静かに僕を見る

どうにもならない心でも
あなたと歩いてきたんだ

愛してるよ、ビビ 明日になれば
バイバイしなくちゃいけない僕だ
灰になりそうな まどろむ街を
あなたと共に置いていくのさ
言葉を吐いて 体に触れて
それでも何も言えない僕だ
愛してるよ、ビビ
愛してるよ、ビビ
さよならだけが僕らの愛だ