⑨暴漢に襲われるシーンの改変

あそこ原作ではフローが自分で撃退するのです。

そうしたことも起こりうるとグレイが戦い方を教えてくれていて。

戦った経験などないフローがグレイの言葉を信じてその通りに行動して撃退するところがいいのですよ。

撃退後も「自分を焼き殺してやりたいと願わない者は一人もいない」と言って一人で見回りを続けるフローがいいのですよ。

(その後兵士がフローの影にキスをするところがまた最高なのですよ)

物理的な攻撃の仕方から欲しいものを手に入れるための戦い方(味方を増やす等)を教えてくれるグレイも頼もしくて。

デオンとの戦いにおいてもですが、真っ向勝負ではかなわない相手に策を練る、そんな一面もあるのです。

そんな二人のかっこいい描写があまりないことは残念。

 

⑩「名誉の章典」がなかった…

あるとばかり思ってたんです、グレイが決闘代理人の習わしとして言う「名誉の章典」。

舞台映えするだろうしかっこいいはずとは思うのですが、あれはやはり漫画だからで、舞台でたびたびやられたらいささかくどいかもしれないとも思ったり。

なのできけなくて残念と思いつつ、やむなしとも思っています。

 

⑪謎の追加シーン

ゴーストのダンス…ホーンテッドマンション?

Xmasの描写…そんな余裕ないのでは?

ヴィクトリア女王のシーン…?

 

全て楽しげなシーン。

原作にはなし。

ダンスや女性の登場シーンをいれたかったんでしょうか?

個人的にはそこよりフローの改革場面をもっとえがいてほしかったけど、お仕事ストーリーではないから仕方がないのかなぁ…

 

シーンの追加というか、ラスト、フローの枕元に登場人物が揃っていたのはあまりに都合がよいように思いましたけど(90歳でお亡くなりになってますしね。あなた方は一体おいくつなのかしら…と)、旅立つフローとグレイの姿がボブには見えるというのはいいなと思いました。

 

⑫ジョン・ホールがこわくなかった

生霊のところでも書きましたけど、ちょっとコミカル寄りなのでしょうか?

鐘のフロローみたいな感じを予想してたものですから。

個人的にはもっと巨悪感がほしかったです。

 

 

いろいろと書きましたけど、よかったかと問われたらよかったと答えますし、おすすめかと問われたらおすすめと答えます。

フローの慟哭場面では涙しましたし、ラストの演出の美しさは今でも心に残っています。

 

相違点をいろいろと挙げましたけど、やはり最も残念だったのはフロー、デオンのえがき方。

女は守られるもの的な固定観念を感じました。

フローはもっと強いし、デオンは性別を超えてるのよ…

でもわかりやすいと言えばそれはそうで、一般受けをねらうとそうなるのかなぁ。

シンプルなストーリーほど歌やダンスで肉づけしやすいのでしょうし。

ただ、脚本が全てというわけではないので。

役者さんが、歌声からりりしさを、たたずまいから強さを表現されていたと思っています。

(個人的にグレイ 萩原さんの軽妙さがイメージぴったりでうれしかったです)

シアターゴーストを実際の劇場で観られたのはやっぱり素敵な体験でした。

たくさんの人に見てほしい作品です。

 

ただー

ネタバレが嫌な方は仕方ありませんが、観劇後、好きな作品だと思った方にはやっぱり原作も読んでほしいのです。

原作の素敵さは原作でこそ味わえるものなので、その入り口になってくれるならとてもうれしい。

女性が好む絵柄ではないでしょうから絵が苦手という方は仕方ありませんけど。

 

Xで劇団を手ばなしで称賛される方を見かけましたけど(「看護覚え書」を取り入れてて四季すごい!みたいな)、原作がそうなんで…と原作ファンとしてはやはり思いますし。

「原作読む必要ないです」と言ってる人も見かけましたしねぇ…

「観劇前に読む必要はない」という意味だと思いたいですけど。

0から1を生み出す人への敬意は忘れないでほしいです。

 

真瀬さんフローも金本さんグレイも観たいから、また行きたいなぁ。

複数回観るうちに曲もなじんで、もっと大好きになるかもしれないし。


原作ファンでミュージカルが初めてという男性の観劇も多い様子。

まさに四季の狙い通りかと思います。

「ゴースト&レディ」が観劇の入口になって、誰かにとって特別な作品になるなら、とてもうれしいです。

(謎な立ち位置でごめんなさい。ただの原作ファンです)

(四季も好きです。一番好きなオリジナル作品は「夢から醒めた夢」、保坂さんが私にとっては舞台女優の最高峰です)