アッキーと有沙さんの共演だなんて観たいじゃないですか!

というわけで四季「ゴースト&レディ」とセット観劇する前提でチケットをとりました。

 

「ゴースト&レディ」とは対照的にリプライズが効果的かつ印象的な舞台でした。

(ゴースト&レディは書きたいことが多すぎてまだまとまっておりませぬ…)

芯となる一曲(「アンコーラ」)がある。

その曲が場面をかえ、歌い手をかえて歌われる。

とてもよかったです。

CDがほしい。

頭の中にメロディーが流れます。

 

実在した超絶技巧のバイオリニスト、パガニーニの物語。

音楽の悪魔と血の契約を結んだ一人のバイオリニストの栄光と死。

 

アムドゥスキアス…アッキー、中川晃教さん

音楽の悪魔。

人外を演じさせたら独壇場ですね。

唯一無二のハイトーン。

その美しい歌声は天使にも悪魔にもふさわしい。

楽しそうにチャーミングに音楽の悪魔を演じていました。

退団後初舞台がアッキーと一緒だなんて、有沙さんラッキーだなぁ!

 

パガニーニ…木内健人さん

初の主役なのですね。

歌もよく、悪魔と対峙するシーンで見せた強さもよかった。

嫌な奴の場面が多い分、母親の前で見せる家族思いの少年の名残を残す顔、アーシャやアルマンドに見せるそっけなさの皮をかぶったやさしい青年の顔がよかった。

強さと弱さをあわせもつ魅力的な主役を好演されてました。

 

アーシャ…有沙瞳さん

パガニーニが心を許すジプシーの娘。

のっけから出番があって、出番も多くてうれしかったなぁ。

無邪気なかわいらしさと悪魔にもの申せる強さ。

PVより歌がうまいのは芝居歌のうまい有沙さんならでは。

思いの伝わる歌唱。

いつもながらまっすぐに立つ姿が素敵で。

立ち姿に芯があるのです。

動きをとめるときぴたっととまるところも好きです。

 

 テレーザ…春野寿美礼さん

パガニーニの母。

初演は香寿さんだったのですよね。

この年頃の歌が重要なお役を二人でわけあっている印象。

パガニーニをどこまでも愛し、信じて見守る母。

強くおおきな愛を感じられました。

 

エリザ…元榮菜摘さん

ナポレオンの妹にしてパガニーニの恋人。

パガニーニとの別れを決意する場面での歌唱が印象的。

悪魔の思い通りにはならないという魂の叫び。

パガニーニへの愛が確かに伝わる歌唱に涙があふれました。

ドレス姿も美しかった。

 

コスタ/ベルリオーズ(二役)…坂元健児さん

コスタはパガニーニのバイオリンの師。

ベルリオーズは新進音楽家。

サカケンさん!

CDで長年きいてきたお声なれど舞台でははじめまして。

とくに二幕後半のパガニーニとベルリオーズの2万フランの援助をめぐるやりとりがとてもよくて。

史実かと観賞後ベルリオーズのwikiを読んでしまいましたもの。

どうやら実際には援助はなかったようで(名義のみ貸した感じ)納得しつつもちょっと残念。

(どケチと言われながらも才能ある音楽家には援助を惜しまないなんて素敵やんと思ったらやっぱりどケチよねというお話)

自身に満ちたコスタと気弱なベルリオーズ。

歌も含めてさすがのうまさでしたが特にベルリオーズがとてもチャーミングでした。

ベルリオーズの歌う「アンコーラ」に心うたれます。

 

アルマンド…山寺宏一さん

パガニーニの執事

山ちゃん!

こちらもずっとずっと知っている方なれど舞台でははじめまして。

さすがにいい声だしアドリブいっぱいで盛り上げる。

アルマンドの「アンコーラ」もとてもいいのですよ…朗々と歌い上げるわけではないだけに老いた執事のせつなさが伝わる。

ダブルキャストの畠中さんの歌う「アンコーラ」もきいてみたいなぁ。

 

素敵な日本発ミュージカル。

アルマンドとアーシャの狂言回し的な部分とか、もっと整理できそうな気もしますから(最後までその設定がいかされるわけではないので)、再演を重ねて更に進化してほしいとは感じましたが、音楽で伝える、音楽だからこそ伝わる作品だったと思います。

感情の高まりを歌で伝えるのがミュージカルのよさで、台詞を歌にするものではないと思うので。

 

「ミュージカルの醍醐味ここにあり」という気持ちになった作品でした。

東京公演を終えて大阪、福岡へ。

多くの方に観てほしいなぁ。