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猫と 散歩と 少しのパンさえあれば


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わたしは 生きていける。











山口氏は
手に持ったグラスの中の 
氷を回すようにして

「手元には
 な〜んにも残らなかったけど、、」

「、、、、、」

「、、そっか、、」

「、、、」

「でもね、おかげでいろいろと
 気づけたのよ、、

 負け惜しみじゃないの、ホントよ、、」

「そうですねぇ、、

 お金に支配されるのはイヤだけど
 お金のおかげで気づいたり、
 勉強になることもありますよね、、」

「そうそう、
 お金から学べて
 人からは学べないこともあるし、、」

そんな言葉にゆっくり頷きながら
山口氏は、

「、、なんであの日、、」

そう言うと首をかしげた。

「、、わたしなんであの日、
 かかったお金を
 計算しようとしたのか、、

 今思うと不思議なんだけどね、、

 でも今は
 あの時のわたしに感謝なの、、」

「うん、、」

「なるほど、、」

「わたしね、代理店に行くの
 迷いだしたからとりあえず
 しばらくね、お見合い、
 お休みすることにしたの、、」

「立ち止まるって大事ですよね、、」

「そうなの、、
 そのおかげで週末が暇になってね、、

 なんだかんだ、
 後回しにしてきたことをやり出したら
 アジ殿に会えたのよ〜、、」

「そのおかげでって、
 猫あるあるですよね、、」

「実際、アジ殿に
 出会えたんですものね、、フフッ、、」

「まさに、あるあるですね、、フフッ」

「く〜!
 その『おかげ』ってことば、
 耳にしみるー!、、」

「何がキッカケになるか
 わからないですもん、、」

「保護ネコくんでしたよね?、、」

「そうなの、、

 これもウソみたいな
 ホントの話なんだけど、、ウフフ、、」

わたしは、
なぜか絹本さんが
笑いをこらえているのに気づいた。

山口氏はちらっと絹本さんを見てから
ニヤケた顔で、

「お絹さんの紹介でアジ殿に、ね、、
 フフッ、、」

「あ〜、そこなんですね、、」

「やっぱり、、」

「なるほどねぇ、、」

「アジ殿にはどこで?、、」

「絹本さんとは元々
 お知り合いだったんですか?」

わたしがそう言うや否や、
今までのトーンとは
桁違いの大声で
山口氏が笑い出し、

「アーハッハッハツ、
 アーハッハッハツ、、

 も〜、しんじらんな〜い!、、
 アハハハ、、アハッ、、

 わたしぃ、
 この隣駅に住んでいるんだけど、

 このマンションのちょっと先に
 ペットショップがあってね、、

 フフッ、、外から
 ワンちゃん猫ちゃんを
 見てたのよ、ん?、みてた?、、
 見てたかしら?、、

 まぁ、とにかく立ってたの、、

 土曜日で歯医者で虫歯の治療して、
 で、その帰り、、

 ペットショップと同じビルだったから、
 歯医者さん、、

 前の日残業で遅くなって眠くて、

 とにかくボーッと、痛かったなあって
 思いながらボーッと、、」

「ワンちゃんか猫ちゃんを
 探してたんですか?、、」

「フフッ、ちがうのよ〜、、
 
 眠気と朝イチの歯医者の疲れで
 ボーッと立ってただけ
 なんだけどね、、」

突然絹本さんがゲラゲラと笑い出し、
山口氏も再び笑い出した。

「アーハッハッハッハー、、」

二人はわたし達を忘れたかのように
笑っていて、
山口氏はよほどおかしすぎるのか
涙すら浮かべている。

わたし達が皆

「、、???、、」

としていると、

山口氏はティッシュで
涙を拭き、
大きくフーッと息を吐いてから、

「ウフフッ、
 ポンッて肩をたたかれて
 振り向いたらこの人が立ってたの、
 アハハハ、、」
 
「、、???、、」

「いい猫ちゃんいますよ!
 ちょっと見に行きませんか?って、、

 アーハッハッハツ、、」

絹本さんもわたし達も笑い出し、
あたり一面笑いの渦となった。

猫たちはそれぞれの場所で
まったりとしていて、
そのうちの1匹が
ゆっくりとテーブルに
近寄って来ていたのだが、

流石に大音響の笑いで
その足を止めた。

「ガハハハハッ、、」

「うっそ〜!アハハハ、、」

「え゛ー!、、アッハハ、、」

「ウケるー!、、いーヒッヒッヒ、、」

「それぽ◯引きじゃ〜ん、、
 アハハハ、、」

「初対面ですよねー!?、、」

「初対面もなにも、フフッ、
 通行人よ〜、、」

「アハハハ、、」

「いきなりよ?いきなり!、、

 どこの誰かも分からない人から
 声かけられたらビビらない?、、」

すかさず絹本さんが
笑いながら、

「でも素直について来たじゃない、、」

「アーハッハッハ、、
 連れ去りー!
 アハハハ、、」

「違うわよ、ちゃんと自分の意思で
 あたしについて来たんだから、、」

「フフッ、山口さん
 こわくなかったんですか?、、」

「怖いとか何とかじゃなくて
 ボーッと、、
 ボーッとだったから、、」

「うける〜!、、アーハッハ、、」

「どこに行ったんですか?、、」

「ここに来たんですか?、、」

「ちがうのよ〜!、、

 お絹さんの猫友?
 白石さんよね?、、」

「フフッ、そうそう、、
 たまたまその日の朝、
 猫つながりの白石さんから
 わたしの携帯にメールがきててね、、

 明け方散歩中に
 保護した猫がいるんだけどって、、

 渡したい物もあったので
 とにかく見に行くことにして、、

 駅へ歩いてたら
 ペットショップの前にいて、、

 だから誘ってみたの、で、一緒に
 行ったのよね?、、」

「アーハッハッハ、、」

わたし達はバラバラのタイミングで
笑い続けていた。

わたしは笑いながら、

「フフッ、お近くだったんですか?、、」 

それに対して山口氏はポソッと言った。

「小田原、、」

「お、お、オダワラー!、、」

「え゛〜!、、」

「小田原ー!?」

「いきなり、、しかも初対面の、、」

山口氏が

「小田原、、遠かったわ、、」

と、こぼした。

青柳さんが驚いたように

「カオスだったんじゃないんですか?、、」

すると絹本さんは笑いながら、

「フフフッ、、ずーっと寝てたよね、
 ロマンスカーで、、」

「ロマンスカー!?、、」

「なんか色々、衝撃的すぎ〜
 アハハハ、、」

「ロマンスカーですか、、」

山口氏が悲しげに、

「ロマンスカーにいつか乗りたいって
 ずっと思ってたのに、、」

「アハハハ、、全然知らない人と
 猫見に行ったわけですね、、」

「むちゃくちゃ〜、アーハッハッハ、、」

「どうして、ウッフッフッ、
 どうしてそんな、アーハッハッハ、、」

「だ、か、らー!
 ボーッとしてたの、ボーッと、、」

「麻酔ってこわいですねー、、」

「麻酔のせいじゃなかったと思うわ、
 ボーッとしてたのは、、」

「とにかく
 ペットショップの前で
 ボーッとするときは
 気をつけなきゃ、ですね、、」






つづく



ここまでお読みいただき

ありがとうございます。


ペコリ←おじきです




この話は順不同にでるとおもいます


ご了承いただけますと幸いでふ


*文と写真の時期は一致しておりません