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猫と 散歩と 少しのパンさえあれば
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わたしは 生きていける。
何の変哲もない彼女のマンションは
下町の駅から歩いて
15分程度のところにあった。
エレベーターで7階に上がり、
一番奥の706号室、
絹本と書かれたインターホンには
7匹の猫の絵のシールが貼られている。
もしかしたら
彼女は7匹の猫を
飼っているのかも知れない。
玄関まで猫を4、5匹引き連れて
出迎えてくれた彼女は
ふくよかな顔立ちに
ショートカット、
ノーメイクだった。
山吹色のトレーナーにジーンズ、
その上に白い割烹着姿で、
わたしよりはずっと
背が高くて肉付きもよく、
抱きしめてもらいたくなるような
昭和のお母さんの出で立ちだ。
彼女と共にやってきた
模様とりどりの猫たちは
客人には興味はさそうで、
もっぱら彼女の脚にまとわりついる。
ニコニコ笑いながら彼女は
猫の名前を次々と口にしたが、
猫の知識などなかったわたしは
まず猫の模様すら知らなかったので、
誰がだれやら全くわからない。
そんなわたしにおかまいなく、
彼女はいかにも楽しげに
猫たちに話しかけながら
奥へと案内してくれた。
ほどほどの広さのリビングに
テレビはなく、
茶色い布がボロボロの
一人掛けソファーや、
ガラスを全く使ってない
木でできた戸棚が三つあり、
そのうちの一つの戸棚の上の狭い所に
猫が2匹、
器用に身を寄せ合うようにして
毛繕いをしていた。
キャタタワーは2本そびえ立っているが
そこに猫はいなかった。
あとはところどころ
床に
クッションが置いてあり、
玄関からリビングに戻ってきた猫たちは
出窓やクッションでのくつろぎに
戻って行った。
7匹もいれば
さぞかしにぎやかだろうと思っていた
わたしは
拍子抜けしたのだが、
どうやら猫たちは
おやつをもらったばかりなので
落ちついているらしい。
リビングのカウンターに
そのカウンターと
ほぼ同じ高さの白いテーブルが
二つくっつけてセットされていて、
持ち寄った食品や飲み物、紙皿などが
並んでいた。
あとで聞いた話しだが、
この高さだと猫たちも
むやみやたらと上がって来ないように
教えやすく、
また、大人数で集まっても
立食が可能な為らしい。
わたしは
既に集まっていた4人に
軽く頭を下げて挨拶をすると
ゆっくりと出窓に近づいた。
出窓にいた2匹の猫も、
あくびや毛繕いをしていたが、
2匹とも、わたしをチラリと見ただけで
特に気にする様子もない。
流石に7階からの眺めは
ウチのそれとは比べ物にならない程
おもしろく、
賑わう通りの人や車はもちろんのこと、
少し先の水面がキラキラと光る川や
その上にかかる陸橋を
まるでオモチャのように
渡っていく電車も見える。
高い建物が少ないせいか
眺め飽きることのない、
まるで記録映画のようなシーンの連続だ。
これもあとで聞いたのだが、
彼女はこの眺めを
猫たちが気にいると思って
ここに決めたらしい。
4人いるうちの一人は
男性だが、その場は紛れもない、、
いや、見事な女子会となっていた。
だれもが
携帯に入っている写真を見せあったり、
ミニアルバムを
バックから出して広げると、
いかに
自分の飼っている猫が素晴らしく、
いかに可愛らしいか、そして
いかに自分は
その猫を愛してやまないかを
口々に自慢する。
初めて参加したわたしは
かれらの聞き役として
格好の餌食でしかなかったが、
なぜだかそれが
油断をすれば涙さえこぼれそうなほど
居心地が良かった。
わたしはこれまで
いろいろなシーンで
初対面の方々と話す機会があったが
これほど最初からフレンドリーで
笑顔まみれで話すことは
なかったように思う。
全員でお茶やジュースで
顔合わせの乾杯のあと、
お互いに
聞くというよりも
喋り続けているにもかかわらず、
持ち寄った食事は
お昼という時間帯でもあり、
みるみるうちに減っていった。
つづく
ここまでお読みいただき
ありがとうございます、、、
ペコリ
↑おじきです
この話は順不同にでるとおもいます。
ご了承いただけますと幸いでふ。
*文と写真の時期は一致しておりません
