風呂にお湯が張れるまで寝酒タイム。

今呑んでいるのは寺田本家の「香取90」。
無農薬米の無添加、純米無濾過。
加えてお米の粒を90%残した旨口濃醇、例えて言うなら台湾ブヌン族の地声のハーモニーみたいな、雑味綾なす倍音の深さの味。

アタシは「吟醸」と言われるお米を60%も磨いちまってさらに「スッキリさせるために」アルコールまで添加している香りばっかりでスカスカしていて食べ物と合わないジュースみたいな、しかも高いあのタイプの酒があんまし好きでない。
あれは食前酒には良いとは思う。

しまった、器のはなしだ。

使っているぐいのみは信楽で買った陶に赤絵の、柔らかい感じの小ぶりの汲み出し茶碗。
つまり猪口でない。
信楽の近くは朝宮茶というブランド茶の産地で、煎茶道が盛んなのだ。
煎茶道の茶碗って小さいのよ。
台湾の茶芸の茶碗もお猪口くらい小さいな、そういえば。

陶器なので貫入(カンニュウ)と言って釉薬と陶器の地の収縮率の違いから出る釉薬のヒビみたいなものができる。
使っていくとそのヒビに茶渋やら何やらが浸透して、器がよく言えば時代がかってくる。
これを「可愛がって育てる」と言うそうだ。

私が使っている茶碗は2010年に購入した新品で、せっせとこれで赤ワインを呑んでいるから貫入に赤紫が入ってなかなか良い色出てきた。
今日、澄んだ色の酒を注いだら育てた器が綺麗で見とれてしまった。


貫入に入ったヨゴレを「育てた」なんて喜ぶ文化は他には無さそうだね。
日本人、面白い。





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