スラムドッグ$ミリオネア [DVD]/デーブ・パテル,アニール・カプール,イルファン・カーン

¥3,990
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☆☆☆☆

現代のインド・ムンバイのスラムで育った無学な青年がクイズ番組で次々に正解を答え賞金を獲得。
なぜ、彼は正解を知りえたのかー?

アカデミー賞8部門獲得、「トレインスポッティング」のダニー・ボイル監督、脚本は「フル・モンティ」のサイモン・ボーファイ、原作はインド外交官で今は大阪インド総領事館総領事のヴィカス・スワラップ「僕と1ルピーの神様」。

非常に良く出来た映画。
主人公は無学なため全問正解で収録を終えた晩に不正を疑われて警察に拘束と尋問をうける。
しかし主人公ジャマールはクイズの答えをその過酷の人生の中で「生きながら学んだ」。

クイズの問いは主人公の壮絶な過去に何かしらまつわっており、問いと答えの間にその物語が挿入されていく。
スラムの生活、宗教対立による暴動での母の死、ゴミ山でのスカベンジャー生活から子供の物乞いの元締めに拾われ・たくさん稼げるようになるために不具にされそうになってそこも逃げ、、、、、、。
過酷な生活を主人公とその兄貴は物乞いの元締めから逃げてから、本当にたくましく機転を利かせながら生き抜く。
電車の屋根に住んで食堂車から食べ物をかっぱらう、たまたま転がり落ちたタージ・マハールで最初はコソ泥・のちにモグリのガイドとして、兄と喧嘩別れしてからもその場その場で機転を利かせて生きていく。

ちゃんとハッピーエンドを迎え、最後はインド映画お約束の大群舞で締めくくられる後味の良い映画なのだが、☆4つにしたのは、インドの下層に生きる子供たちを取り巻く環境があまりにも「闇」すぎて、私はかなり見ていてつらく、2回見たい気にはなれないから。
インドの外交官がインドの現状を広く知ってもらいたいために書いたとされた小説なので、事実はこんなもんでは済まないんだろう。

「ビジネスパートナーとしてのインド」なんつったってこういう生きるためには嘘八百も盗みも殺しもカラッとできる現実を生き抜いている人たちのいるお国柄とどこまでも甘ちゃんな日本人はどう渡り合っていけるのだろうか、なんて横道のことを考えちゃってね。


原作は映画とかなり違って、主人公がクイズ番組に出る大きな動機になる恋人も、主人公と袂を分かち凶暴なチンピラになるものの最後は弟思いのお兄ちゃんも、両方でてこないそうだ。
映画のストーリーを大きく動かしているのはこの2人なので、この映画がよくできた爽快なエンターテイメントになっているのは脚本の力が大きいと言える。