さて四日市駅から稲崎栄利子ちゃんの個展会場の最寄り駅に向かう途中。

きりっとした歌舞伎の「鏡獅子」のボスターが目に飛び込んできた。
こっ、これは明治に生まれ昭和後半まで活躍して108才まで生きた彫刻家、平櫛田中(ひらくし・でんちゅう)の代表作ではないか!
国立劇場にある本物も、「鏡獅子」の試作の裸でポーズを取る五代尾上菊五郎の彩色木像も、日本の具象彫刻の最高峰、最高にカッコいいのだ。
津の三重県立美術館で一大回顧展をしている、とな。

行きたい!見たい!!
頭が痺れたようになってしまう。

四日市から津なら、近い。
と・思ったが当日は月曜日で美術館は休み、しかも私は京都に近い石山に宿を取ってしまった。

でも、頭が痺れてしまったので諦めない。
次の日滋賀県の美術館に開館同時に入るようにして、なんとか閉館までに津の美術館に飛び込めないか、携帯で移動スケジュールをチェックしまくる。
正午くらいに移動を始めれば、閉館までに間に合う。いくぞ。

って・これが逸脱を装ったお導きの始まりでした。

・・・・・・・・・・・・
稲崎栄利子ちゃんの個展はさすがの密度で・私の眼力を以てしても、もうどうやって作っているのか想像がつかない。
体を大事にしてお互い頑張ろう、と励まし合う。

画廊を後にして月曜日に行くなら寺しかない、時間的に京都駅周辺を攻めるか、滑り込みでも一番好きな宇治平等院か。

最近「天女」が気になる。
気になる、というか天女や飛天菩薩に妙に「リアリティ」を感じるようになった。
それじゃ平等院の「雲中供養菩薩」を見なきゃいかんよ。

ってことで三重県四日市から名古屋、京都を経て宇治駅に移動。
閉院前一時間。
よしっ、と気合いを入れたらチケット売場で
「只今『平成の大修復』のためお堂が拝観できません」と。
確かに鳳凰堂全体が白い覆いで囲われている。
あ、そういえば平等院の阿弥陀様を運び出すニュース映像を見たな。(^_^ゞ

しかし私の目的「雲中供養菩薩」は併設のミュージアムにおいでなので今回はよろしい。
拝観料も半額の300円。むしろラッキー。

鳳凰堂を覆い越しに透かして見れば、ほとんど骨組みしか残っていない。
これは本当に大修復だ。

鳳凰堂の前に立っている立派な松の木に挨拶して、ミュージアムに入り、国宝の鳳凰やお目当ての雲に乗って奏で・踊り・歌う菩薩様をたくさん見る。
浅田真央ちゃんにそっくりな菩薩様が居たなあ。

日暮れて石山へ、親切なガードマンさんがいた晴嵐開館へ。