2回消えた日記、もう一度上げてみます。
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再び台湾の鶯歌の博物館に来ています。
今回使うことになった部屋はかつてイヴァンが使っていた、お日様が全く入らない、ランドリールームの隣の狭い女中部屋みたいな部屋で、エアコンがうるさくて夜は何度も夢を見ては起きるような有様です。
やっとつながったネットも今日は台風直撃でとぎれとぎれ。
そんな中、印象深い夢を見たのでシェアしたいと思います。

ちょっとグレードの高い感じのホテルの様な一室に私がいます。
そこに、4年前に14歳で看取った愛猫の「カブちゃん」だという女性が訪ねて来ます。
グレイになった髪にウエーブをかけて「耳かくし」の様にまとめた、70歳くらいの品の良い女性の姿です。
生成り系のレースがたくさん使ってある、ふんわりした薄紫のワンピースで、ピシッと鮮やかに赤い口紅をつけて、若いころはさぞ美人であっただろうな、という艶やかさのあるーシャンソニエの名物ママさんみたいな感じのエレガントでチャーミングな女性です。
「生まれ変わっても眼だけは変わらない」とはよく言ったもので、そんな様変わりして現れても、緑がかって大きくて綺麗だった眼の賢そうで物語るような感じがそのままで、すぐにカブちゃんだという事は解りました。
思えばカブちゃんは黒白ハチワレで鼻の下にチョビ髭みたいな模様があったファニーな感じの猫だったのですが、シャム猫の血が入っていたかもしれないスーッと鼻の高い顔の小さな「よく見ると美人」系のコでした。

カブちゃんが言うには、私があんまりカブちゃんを恋しがったり思い出すとなかなか成仏できないから困るそうで。
「『ありがとね、また遊びに来てね』なんて言われると、困っちゃう」だそうです。
これ、確かによく言うのよ、私。
夢うつつでどうも亡きカブちゃんが首に顔を寄せて寝ているような感じがして、起きたときなんかに、よくそう言うのよ。
来てくれたのかな、嬉しかったな、と思って言うんだけど、いけなかったのか。

「そうか、あんまりカブちゃんを恋しがっていないで次のコを早く飼ってあげる方がいいの?」と訊くと、大きな瞳で私を見つめながらコックリと頷くカブちゃんの老貴婦人。
カブちゃんを行かせてあげよう、でもカブちゃん、行ってしまうのか・・・・と感慨深い思いがしました。
その後なぜか陶芸教室の生徒さんみたいなオバ様方がたくさん入って来て、カブちゃんの老貴婦人がたくさん着物を持っているらしい話とか、雑談になりました。
ホテルの部屋を出て「ランドリーを取りに行く」というカブちゃんの老貴婦人を手伝おうか、と言っているあたりで目が覚めました。
カブちゃんの老貴婦人がカットワークが可愛い薄いベージュの華奢なパンプスをちょこん・と履いていて可愛いな、と思って見ていたところでした。
そういえばあの猫は4つ足が白タビをちょこんと履いたように白くて、そこも可愛かったのでした。
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寝しなに辛酸なめ子さんの「霊道紀行」(角川文庫)を読んでいて、それにペットの霊とコミュニケーションする話があったので、微妙にその影響がありそう。
映画「グーグーだって猫である」で主人公が亡くなった愛猫の化身の女の人としっとりと話し合う場面があったけど、その影響もあると思う。
夢だったにしても、なんとなく確かに今回カブちゃんは私に話をしに来て、そろそろ「次に行くね」と言いに来たのだという気がします。
あんなに綺麗で品の良いご婦人で現れたから、もう「良い奴だったけどあんまり頭良くなかった」とか「間抜けでネズミ取りに猫のくせに引っかかった」とか・あんまり言わないね、カブちゃん。(笑)
特に「奴」なんてもう絶対使わない、「あのご婦人」ですよ、これからは。

猫友から里親を探しているニャンズを貰い受けようか、でも、こうやって海外に来たりしている生活が一段落しないと無理だな、母と妹にこの話をしてみようかな、なんて起きてからも真剣に考えました。

生涯で一番貧乏だった時に出会って、「自分も食えないのに猫なんか拾った」と呆れられて飼い始めたカブちゃん。
あの6畳間のアパートにいた頃はいろいろ嫌なことも多くて、声をあげて泣いたりすると必ず涙を舐めたりして慰めてくれました。
怪我をした野良猫を「助けた」つもりだったのに実は私ばっかりが助けられた共同生活でした。
本当に死んでしまってからも見守ってくれていてありがとう。
私はカブちゃんを思い出しても寂しいわけじゃないから、心置きなく次に行ってくださいね。


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この夢を見てから、私はカブちゃんをリアルに思い出すことが出来なくなりました。
前は手触り、重さ、匂い、かなり具体的に思い出せたのですが。
もう老貴婦人のカブちゃんと混ざってしまってうまく思い出せません。
カブちゃんは多分、本当に、にゃんこ達の魂の集合体に混ざってしまったのだと思います。

夢という形を取ったにすぎなくても、確かに私たちは会えたんだ、という実感があります。
そうして、そんな実感のある夢は増えているように思います。