今日はため息みたいな変な生あくびと涙が出て、眠くて眠くていつもより1時間早く切り上げてきた。

あんまり涙がボタボタ出ているのでぬぐっていたら、アシスタントのケン君が
「キョウコ、ガス窯は僕とハンチンがちゃんと焚くから心配しないで!」といいに来た。
・・・・君は本当に良い子で可愛いなぁ。

そうです、今日は滞在中に作った小さめの作品をガス窯で焚く予定だったのですが、台湾北部に台風が直撃してきて、野外にあるガス窯を炊くのは延期になったのです。
別に帰るまでにやければいいからね、ケン君。

そういえば、窯詰めをしていたら一番無愛想で挨拶してもあんまり返事してくれないお掃除のオジサンが見に来て
「こんなの台湾に無い、アンタは凄い、ナンバーワンだ、今まで悪かった」
ってなことを片言の英語で話してきた。
オジサン、英語出来たんだね。知らなかったよ。
今日一番うれしかったことは、これだな。

新しい作家達は前回の台湾陶芸ビエンナーレの優勝者(香港から)と入賞者(オーストラリアから)の男性。
紳士で静かで、こうなるとあのわかり易く小者だったイヴァン君が懐かしいくらい。(笑)

と・思っていたら香港作家がなんだかちょっとおしゃべりで仕切り屋で、親切を装って支配的で、友好的を装って「俺を認めろ」意識が強くて、ちょっと私は苦手だというのに気が付いた。
ついでに私の作品が大きくて目を引くので微妙に苛立ってるみたい。
困ったな。

昨日の夜まで「アイツ結局笑顔のイヴァンじゃん、面倒臭えなぁ!」と思っていたのですが
今日、気が付いた。

私って「父性的な態度」が苦手なのよね。
優しかろうと威張っていようと威圧的、支配的な男性というのは私の周りにいなかったのでこういうものをうまくかわすレッスンが足りない。
負け犬の遠吠えみたいなののサンプルはたくさんあるんだけどね。
でも負け犬でも友好的でも結局威圧的で支配的なのは「このサル山のボスは俺だ!」というサル意識のあらわれで。

アタシはアンタたちのいるサル山にはいないって、なんでわからないのかな。

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ある意味押しつけがましくて善意だから余計に面倒臭いアリーナという母性的な面倒臭さには
、母とのバトルを経てニッコリ笑顔で「私はそうしたくないから」と言えるようになったんけど。

こりゃああの香港の作家を通じて父性的な面倒臭さをどうでもよくなれ、というレッスンかな。
オーストラリアの作家は優しいお姉さんみたいな人(ゲイじゃない)でいい人なんだけどな。


しかし土を触っていれば「なんでもいいしどうでもいい」。

自分の作品なんだけど、まだ途中なんだけど、作品に触れているとものすごいエネルギーが自分にチャージされる。
それに導かれて作っている。すごく気持ちよい。
だから結局香港のサル山的態度もスルーできるようになるだろう。

そういえば若いころから私はこの手のサル山問題に苦しめられてきたけれど、自分の中にサル山意識があるってことかもしれないな。それはヤダな。
克服したいな。