
本当に面白い2人だった。
アリーナはスピリチュアルなことが好きで平和主義、と自分を認定しているけれど、彼女の好きな色は「赤」だし(笑)、結構頑固だし戦闘的で強引なところもある。
なにしろ世界各国を渡り歩いた経験で培った胆力もあるし、そういう自信と年齢のせいで頑固なのかな、とか 西洋人の女ってこんな感じの人って多いよね、と思ってきたけれど、西洋人の中でも我の強いタフな人なのかもしれない。
彼女の息子さんは彼女に批判と攻撃ばっかり言うイヴァンにすごく似たタイプなんだそうだ。
(「あの地獄みたいな男(イヴァン)に比べたら息子のがちょっとだけマシだわ!」って・ひどいな、アリーナ。)
タフじゃなきゃ60歳を超えてイヴァン「雷公」と互角にどなり合ったりしないよね。
アリーナからイヴァンがこう言った、ああ言った、こんな自分勝手な命令をしてきた、とというのをたくさん聞いたんだけど、イヴァンは不思議なことに私にはそこまで高圧的でも挑戦的でもなかったのです。
それをアリーナは「キョウコは最初からうまく距離を取っていたけど、私は最初優しくし過ぎたから舐められたのよ」と言っているけど、違うと思う。
イヴァン、逆にアリーナのことが怖くて舐められたくなかったんだと思う。
イヴァンの台湾での最初の1か月は、いきなり風邪を引いて寝込んで、ダック肉にあたってさらに寝込んで、不用意に窯から出したばかりの皿を触ってしまって右手を火傷して仕事が1週間もできなくて、と散々な滑り出しだったそうで。
(アリーナ曰く、「みんな自分で引き寄せたのよ!」・・・まぁね。)
その間ずっとアリーナが看病したり食事を作ったりして面倒を見たんだそうだ。
だから舐められた、と言うのがアリーナ説だけど、プレッシャーに素直に負け負けな状態を見られたイヴァンはそういう引け目もあって自分を強く大きく見せようとしていたんだろうな。
イヴァン君、マジにお疲れ様。
私にそんなに高圧的でなかったのは、私なんか取るに足らない、とイヴァンは見てとって半分バカにしていたからだ。
(だから私が今作っている大きな作品を作り始めたのを初めて見たときのイヴァンのギョッとして心底ビックリした顔は忘れられない。あの表情を見たときは痛快だった。)
結局イヴァンは私が作品を作る様子を見て、またスライドレクチャーで本格的に私について見直したらしく、最後は
「君は素晴らしい作家なのにどうして日本でポジションがないんだ?やっぱり日本では女はそういう感じなのか?そういう社会に俺は憤りを感じる」
とまで言ってくれたりした。
この2人の可笑しい話や面白い話はまだまだあるんだけど、まとまらないのでこの辺にしておきます。
本当に、この二人は前世で親子か恋人かなんかだったのかと思うくらい、寄り添っていくかと思えば激しく衝突していて、面白い2人だった。
楽しかった!出会ってくれてありがとう、アリーナとイヴァン。
来週には香港から、再来週にはさらにオーストラリアから新たに男性の作家が来るそうで。
その2人もまた学び合う人達なんだろうか。
写真はアシスタントのケン君、アリーナ、イヴァン。
2人の展覧会の搬入日。良い写真でしょ?