ってことで今日は部屋でぐったり寝ていたんですが、昼過ぎに一緒にプログラムに参加しているアリーナ(ルーマニア人)が呼びに来た。

「今日はイースターでホリデーだから、私たちもスタジオに行かない。貴女、食欲ある?私たちはささやかにイースターのランチを作ったけど一緒にどう?」

ありがたくジョインする。
セルビア人のイヴァンと3人で洋・中華折衷の不思議な感じの料理や近所のパン屋さんの美味しいフルーツケーキなどを一緒にいただく。

ルーマニアやセルビアではどんな風にイースターを祝うのか訊いてみる。
大体二人とも同じで夜に特別なミサに行ってろうそくを持って神父さんの後について教会の周りを3周したり、白いパンみたいなものを赤ワインに浸したのを時間ごとに食べたりイースターエッグを作ってぶつけ合うゲームをしたりするらしい。
狩猟と関係のない料理ということで卵料理を食べて、関連は解らないけど二人ともフルーツケーキを食べると言っていた。

言語の話になって、2人ともロシア語を話すのかと聞いたらNOだそうで、
ルーマニア語はラテン語に属するからロシア語と言語が違う、とか
セルビア語の表記文字は31しかなく、ロシア語のものとも全く違うとか、よってセルビアではアルファベットによる表記の新聞とセルビア文字の新聞があるとか
日本語は漢字(イメージ・アルファベット、とまったくもってわかり易い言葉をイヴァンが使った)と表音文字(サウンド・アルファベット)がある、とか
3国の事情を話したり
中国大陸の漢字・台湾の漢字・日本の漢字の違いなんかを話したり、
久しぶりにくつろいで話をした。

ど~もスタジオにいるとお互い話さないし、大体何か問題が起こってカリカリして怒って話をするのを聴いていることが多いので(特にイヴァンが・・・)こうして少しゆっくり話す機会を持てたのはありがたかった。

実はアリーナは60代で経験も豊富で落ち着いた女性で、オバチャン世代特有の気さくさと優しさがあるんだけど、イヴァンはセルビアからアメリカに留学してそのままアメリカの大学で教えている、というようないかにも上昇志向型やる気満々なタイプで年も多分40歳以下で若いので、ちょっと良くも悪くも「むき出し」な人だ。
スタジオのシステムがうまく機能しないとか、企画している作品が順調にできないとか、見学者が多くて集中できないとか、そのたびにイヴァンはカリカリ苛々した態度になって私は落ち着けなくなることが多いのだ。
しかし制作を離れれば話題は豊富で気配りもできて、女には優しくて、ちゃんといい奴なのよね。
頭の回転が速くて若くてやる気があって、だから待てないってだけなのよね。
(ちょっとかなりおしゃべりなんだけど・だからアメリカに適応できているんだろうな)

そういうこともこうやって一緒にご飯なんか食べるとよくわかる。

色々なプログラムに参加したけれど、このプログラムは設備はいいけどテクニカルスタッフがいないも同然だったりするせいで、かなり自分の作品についてしっかり技術がある人でないと、問題ばかり抱えてしまう。
他のプログラムで会った若くてやる気と期待だけ増大しているみたいなタイプでは楽しむのは難しいと思う。
臨機応変にいけて、スローペースと適当を楽しめる作家でないと苛々してしまうだろう。
アリーナは全然オッケー、イヴァンも台湾方式に慣れたらそれなりに満足して終われるだろう。
私は、旧友の台湾人がスタッフにいることもあって大方大丈夫だろう。
つまり、良いバランスのユニットだ。

今日は早起きして出かけようとしたんだけどヘナヘナと崩れてしまって、ベッドで寝ながら「あ~甘いもんが食べたい」と思っていたところに、このイースターのランチで甘いケーキを振舞っていただけて、今日もアリーナ・イヴァンを通じて神様に優しくしていただいた日になった。