雨風呂仲間に誘って頂いて、広尾の山種美術館に行ってしました。

恵比寿の駅に待ち合わせより30分早く着いて、待ち合わせ場所に近づいて行ったら、黒いTシャツに黒いリュックの初老の男性がいきなり近づいてきて、
「私はホームレスで、お金がないんです。お金をくれませんか。」と言う。
肩にフケこそたまっているが、言葉もしっかりしていて臭くもない。
ホームレスって、明日は我が身と思うのでなんとなく少し助けたくなって、財布を出したら、小銭がない。
頭がどうかしていたのかもわからないが、千円握らせてしまった。

手渡しながら、「ビッグイシューって知ってますか?」と、思わず話しかけてしまう。
知らない、と言うので
「ホームレスの人が雑誌を売ってその半額が手に入るシステムなんだけど。」と、言ってみたが、実物が無きゃどうにもならないなあ、と思う。
恵比寿駅周辺でビッグイシューを売っていたら実物が見せられて話がしやすいのに、と思い、「なにかいいご縁があるといいですね」と伝えて、その場を離れ、周りを見回したり反対の出口まで出て、ビッグイシューの販売員さんを探したが、見つからない。

お金だけあげたってしょうがないという気が強くして、駅コンビニで小さいメモ帳とペンを買って、ビッグイシューの東京営業所の電話番号を調べて書き写して、それだけでも渡そうと、先程の場所に戻った。

長いエスカレーターを降りていくと、目の前にビッグイシューを売っているおじさんがいるではないですか。
これ幸い、と寄って行って一部購入、販売員さんに話しかける。
「あそこに新米ホームレスみたいな人がいて、ビッグイシューを紹介してあげたいの。」と、言うと。

「あ~、あの人ダメダメ。いつもいるの。俺も声かけたんだけど、やる気ないの。みんな優しいからお金あげちゃうから。楽しちゃうの。」

え~、常習犯なんだ、そうなのか。
「お金あげちゃダメだよ、ためにならないよ」。

そうか、そうだったのか。
なんだか残念だな、と後をふりかえったら、待ち合わせを約束していた二人がいるのに気が付く。
近づいていくと、私と同じ人にお金をせびられたという。
しかも、はっきり「千円下さい」と指定され、「何日も飲まず食わずだ」とも。

今度はムカッと来た。
私の千円でなんか食え、それが本当なら。

まだその人はいるか、と聞いたら、私達から少し離れてまだ通行人を物色している。
ムカッとしたのと友達が連れでいた勢いで、その人に突進して行ってしまう。

「先程言っていたホームレスの人が売って半額が手に入る雑誌がこれです、これが営業所の電話です、人に『お金を下さい下さい』と言ってまわるのはお辛い事かと思います、興味あったらどうぞ。」
と、一息に言ってその人に買ったばかりの「ビッグイシュー日本版」とメモ帳とペンを押し付けてきた。
優しい友人はその人にジュースを手渡した。

改めてまた販売員さんから新しいビッグイシューを買う。

ランチのお店に入りながら色々学んだな、と話し合う。
私自身はああいう場合お金を出すのはためにならない、というケースがあるのを実例付きで学んだ。
困っている人の中には好きでその状態にいたい人がいるんだな、とか
私にはボジティブな情報でも他の人には全く興味が起こらない無駄な雑音にしか聞こえないこともあるんだな、とか。

実は今日私がここまで決然と(笑)ビッグイシューをホームレスの人に紹介したのは伏線がある。

長くなるから一度切ります。