ず~っと考えていたんだけれど、今日決行した。

9月の個展、事情を話して画廊さんに延期してもらった。

実はこの画廊さんで私はすでに一回個展を無期延期してもらったことがある。
2004年のこと、作品の方向性がまったく見えなくなって「何一つ作れない」という状態になった時に予定されていた個展だった。
無事また作品が作れるようになり、画廊さんも一度は閉めていたギャラリーを再開しての今回。

なので雪辱ということで気合を入れていたのだが・
気合が入りすぎて、新しいことがやりたくて、結果頭の中がばらばらになりスタートが遅れ、さらに窯がトラブったりして、制作スケジュールは大幅に遅れている。
「このまま作っていても毎日徹夜しても予定通りにはできない」
悟った。
気合や神頼みでどうにかなる状況を超えている。

気合や神頼みで何とかならないかとこの2週間位じたばたしてみたが、
鬼神のように寝ないで作るということを目指すんじゃなくて、
きちんと生活しながら、落ち着いて作っていく中で、鬼神のような気合の入ったものを作りたいのだ。
作品がいいのが一番大事だ。
自分の体面や画廊さんへの気まずさは、本当にご迷惑をかけて大変に恐縮で申し訳ないが、作品と展示のクオリティより優先順位は低い。

ってことで頭を下げた。
あっさり了解してもらって12月に延期してもらった。
11月に個展を予定していた三重県の画廊さんにも頭を下げて来年の2月に延期してもらった。
こんな要領の悪い作家でも付き合ってくれる画廊さんに、今後も足を向けて寝られない。


今回注意したのは、こういうプロとしていいことではないことをやってしまった自分を
否定しない、ということだ。

実際個展を何度も延期する作家なんて、ゴマンといる。
いいことではないが最悪ではない。
(最悪なのは、最悪な作品を作ることだ)
今までの私だったら健康を害するくらいまで無理をして倒れてから「作者病気のため個展延期」ということになったと思う。
そこまで自分を追い詰めて困らせないと「助けを求める」「引く」ということが自分に許せない体質だった。
無駄に気が小さいのだ。

でも今回はいいことじゃ勿論ないけど、
ちゃんと何が一番大事かということを中心に据えて最悪になる前に自分で動けたし、
人を信頼して助けを求める、頼んでみる、ということができたし、
なにより「健康を害しても期日までに作品を作りたい」じゃなくて「落ち着いていい作品を作りたい」という自分の本当の気持ちを尊重できたのが
やっぱり自分ながら、まぁ頑張ったとおもう。

ブログ書いたり梅酒漬けたり畑やったりしてサボってるからだろ?とか突っ込みどころは満載だが、
そういう無駄っぽいことを含めて「私の生活」だし、
今までの制作の為に他のすべてに罪悪感を持って生きている中でなくて、
その私の生活の中から、落ち着いて作りたいんだからしょうがない。

このまま9月に個展があると想定したような勢いで作品を作っていくことだけは、こんな自分でもちゃんとしたいと思う。
実際2004年に個展を延期させてもらったときとは違って、今回は「作りたいものがたくさんあって時間が足りない」なのだ。
ずいぶんマシだ。

意外と自分を嫌いにならないで済んでとにかくホッとしている。