遥か遠き.....
幾千年の時が流れ....
想い人きたる
「占いですか?」
「そう、今日市場に行ったらね、隣国の珍しい占い師がいたの。」
「それで?」
「実はここに来る前に、あ、現代でよ、占ってもらったことを思い出して、おとと....」
おしゃべりに気を取られ、受け取った鬼剣を落としそうになるウンス。
役目を終えたヨンが屋敷に戻った夕刻。
夫の着替えを手伝いながら、今日あった出来事を話すのが二人の日課だった。
「ご飯にする?お風呂がいい?それとも......ぷっ!」
そこまで言うと、ウンスは唐突に噴出した。
「何です?」
「ぷぷぷっ...あはは....もうだめ!やっぱり無理!」
「ウンス?」
「ごめんごめん、ちょっとベターなセリフがあったんだけど、無理無理、言えないわぁぁ、ははは。」
「べたぁ?」
「あとで話すわ、それよりお腹空いちゃった、ご飯にしましょう。」
夕餉を囲みながら、ウンスはおしゃべりに食事にと手と口を忙しく動かしていた。
これもチェ家の夕餉の風景、だが今日はいささか雲行きが怪しいような....
「だからね、その占い師に私の結婚相手は"昔の男だ”って言われたの。」
「昔の男?」
ヨンは箸を止め、ウンスを見つめた。
「そうそう、そう言われたら誰だって”昔の付き合ってた彼”って思うじゃない?だから私も色々考えてね。」
「.............それで?」
「うん、結局その占い通りになっちゃったわけよ。」
「どういうことですか?」
「だ・か・ら、占いが大当たりってこと。」
ダン!!
突然テーブルを叩き立ち上がったヨン。
ウンスの手からコロンと箸が落ちる。
「び...びっくりした......急にどうしたの?」
「昔の男とは、あなたが過去に想いを寄せていた男のことですか?」
「まあ、ごく一般的にそう考えるわね、でも..」
「..........誰です?」
「誰って?」
「あなたが思いを寄せていた男です?」
「誰って聞かれても.......」
ウンスは天井を見上げ、自分の恋愛遍歴を紐解いていた。
初恋は小学校?いや高校生の時?
いやいや、あれは初恋とは言えないわよね?
実際付き合った人のことかな?
それだって私は勝手に熱を上げていただけで、結局フラれちゃったし......
あ、だめ、思い出したらムカついてきちゃった......てか、なんで私こんなこと聞かれてるの?
ウンスは目の前に立つヨンを睨んだ。
「何ですか?」
「何ですかって、それはこっちのセリフよ!何を怒ってるのか知らないけど、食事中に怒鳴らないでよ!消化に悪いじゃない!」
「そんな事はどうでもいい!」
「はぁ?どうでもいい?!」
「そうです、食事など、どうでもいいのです!それより..」
「どうでもいいって何よ!」
ダン!!
今度はウンスがテーブルを叩き立ち上がった。
その勢いはヨンに負けてはいない。
だが言葉とは裏腹にウンスの瞳はうるうると潤みだす。
彼女は涙を堪えながら唇を噛んだ。
「私がどんな思いで..」
「ウンス?」
「大変だったんだから!これだってハルさんに教わってやっと作った料理で、これは何度も失敗して、それからこれも上手く出来なかったけど、それでも私なりに一生懸命作ったのよ..誰かに食べてもらいたいって思ったのは初めてで...料理は苦手だけど、ヨンに食べてもらいたくって....それなのに、どうでもいいって...」
ついに耐え切れずウンスの頬を濡らし始めた涙。
「はじめて....ですか?」
ヨンはまじまじと目の前に並ぶ皿を見つめた。
「そうよ、これも、これも、これだって初めて作ったの....グスッ...」
「誰かのために作るのは初めてなのですか?」
「そうだって言ってるじゃない!」
「そうですか、初めて...俺の為に..」
ヨンの険しい表情があっという間に和らぎ、嬉しさを誤魔化すように唇を噛んでいる。
「なに笑ってるのよ?」
「笑ってなどおりません。」
「怒ってたんじゃないの?」
「怒っておりません、ただ...」
「ただ?」
「いえ.....さあ食べましょう、あなたの作った料理が冷めてしまいます。」
そう言うと、ヨンは優しいくウンスの涙を拭った。
その表情は万人を魅了するように美しく、ウンスの胸をザワつかせる。
「その顔、外では絶対しちゃだめ。」
「はい。」
「絶対に、絶対によ。」
「する訳がない。」
「笑っちゃだめ。」
「怒ります。」
「それは...やりすぎ...ねえ。」
「はい。」
「いくら料理が冷めるからって、そんなに急いで食べなくても...」
気が付けば、目の前の皿は次から次へと空になっていく。
「ヨンァ、消化に良くないわよ。」
手と口を動かし続けるヨンの様子を見て、さすがのウンスも目を丸くしていた。
「早く寝所に行かねばなりませんので。」
「...............ばか....」
幾千年の時を超え、結ばれた運命の二人。
その夜は万の想いに包まれ、幸せに満ち溢れていた。
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