- 夜と霧 新版/みすず書房
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「夜と霧」
アウシュヴィッツ収容所での体験を精神科医で心理学者の著者ヴィクトール・フランクルが綴った本。
高校生の頃、世界史の先生に教えてもらってから約8年の年月を経てようやく読むことができた。
“歴史に残る名著”
本書はよくそのように評される。
が、それはあまりに綺麗すぎる表現だなと思ったのが読後率直の感想です。
目を背けたくなるような現実、一見非人間的なようで実に人間的な感情・・・
ここにはそのようなことがありのまま、そして学術的な分析に基づいて書かれている。
までに人間が極限状態においてどのような行動をとり、どのような思考を巡らせるのか。
体験記という薄っぺらいものでもなく、心理学の本というにはあまりに短絡的すぎる。
ギリギリの体験を最大限に昇華させた素晴らしい一冊。
印象に残った記述を紹介します。
どうこう言うよりはこの文章を噛みしめて打ちたい。
「経験など語りたくない。収容所にいた人には説明するまでもないし、収容所にいたことのない人には、わかってもらえるように話すなど、とうてい無理だからだ。わたしたちがどんな気持ちでいたのかも、今どんな気持ちでいるのかも」
「被収容者は、生きしのぐこと以外をとてつもない贅沢とするしかなかった。あらゆる精神的な問題は影をひそめ、あらゆる高次の関心は引っ込んだ。文化の冬眠が収容所を支配した。」
「それはなにも強制収容所にはかぎらない。人間はどこにいても運命と対峙させられ、ただもう苦しいという状況から精神的ななにかをなしとげるかどうか、という決断を迫られるのだ。」
「講演のテーマは、なんと、強制収容所の心理学。今わたしをこれほど苦しめうちひしいでいるすべては客観化され、学問という一段高いところから観察され、描写される・・・このトリックのおかげで、わたしはこの状況に、現在とその苦しみにどこか超然としていられ、それらをまるでもう過去のもののように見なすことができ、わたしをわたしの苦しみともども、わたし自身がおこなう興味深い心理学研究の対象とすることができるのだ。」
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