「第1回希少がん患者サミット」報告(上) まれながんでも適切な診断と治療にたどりつくためには

 

という記事がオンコロさんで掲載されています。

 

ここの文面の中に、「フランスで軟部肉腫と診断された1463例を検討した結果では、軟部肉腫を専門とする病理医と、専門外の病理医と診断結果が完全に一致したのは824例(56%)で、40%以上の症例で何らかの不一致がみられたとの報告がある。」という記載があります。

 

そもそもフランスの病理医で軟部肉腫と専門外にわかれているってのは初めて知りました。

 

通常、日本では整形外科専門医、消化器科専門医など、病院の通路や玄関口などに掲げているのはご存知かとは思いますので、病理専門医という分野があってもおかしくない。

しかしながら、整形外科専門医であっても「俺は肩関節専門」・「俺は膝関節専門」・「私はリウマチ専門」等々、細かく分かれその先生の往診日毎に患者は割り振られているのが現状である。

つまり、専門分野の中でも更に枝分かれしているんですね。

 

しかし病理医っていったいどんなシステムとってるんだ?

病理医の世界ってあんまり表には出てこない。

正直、わからない。

昔、長瀬智也が演じた病理医の「フラジャイル」というドラマがあったけど、一切見ないで終わってしまいました。

 

専門医の中でも細かく分かれているはずなので、病理医でも同様に「肺がん病理医」「肝がん病理医」等分かれていれば誤診が少なくなるはず。

 

実際、自分も①線維肉腫→②悪性末梢神経鞘腫瘍→③悪性末梢神経鞘腫瘍と診断名が変わり、②と③が合致していた事によって自分でも納得できた。 ②はがん診療連携拠点病院。③は軟部肉腫病理症例400件診断実績を持つセカンドオピニオン

 

①は軟部肉腫と診断できたものの「レーザーメスの照射熱により、炭化して断端陽性の判断がつかない」といった状態でした。(前のブログにも載せていますが・・・)

 

腫瘍内切除か否かで予後が大きく変わる軟部肉腫ですから、そこらへんはしっかり見極めてほしいものです。

その病理診断で治療の方向性が変わる訳ですし、お金とってるんですから。

医療の業界でなくても、お金をとるからにはプロフェッショナルであってほしいです。

まぁ難しいのもわかりますが、診断が2転3転されては患者としても困りますし・・・・・

 

ある方のブログでは当初抗がん剤の効きやすい「横紋筋肉腫」と診断され、抗がん剤を投与しましたが効き目がなく、腫瘍が増大。

セカンドオピニオンにより「平滑筋肉腫」と診断され、あまり抗がん剤の効果も見られないだろうから、抗がん剤の投薬をストップし、手術により摘出。

 

抗がん剤って免疫力が低下するだけでなく、場合によっては生殖機能(精子・卵子)などにも影響を及ぼし、人生すら変える場合もあります。

こういったリスクを防ぐ意味でも

 

①軟部肉腫が疑わしいと思ったら、医療機関ないし、国が率先して病理を3機関(軟部肉腫病理実績150件以上の医療機関2か所含む)に廻して、診断確定する。

 

②軟部肉腫が疑わしいと思ったら、軟部肉腫の病理経験豊かな医療機関に廻す。

 

③軟部肉腫と判明し、診断確定されたら摘出した腫瘍を複数の病理医に廻し、各々の技術向上のため研究にする。

 

といったシステムの構築が現段階、今の日本には必要なのではないでしょうか?

 

①は複数の病理医に診断してもらう事で誤診を防ぐ事ができるだけでなく、間違った病理医が気が付けるし、患者側が誤診に困らなくて済む。これにはコストが嵩みますが、若手や経験不足の病理医の次の診断能力が上がります。

 

②は誤診はほとんど発生せず、コストもかからず治療方針が決めやすい。患者側も安心できますが、若手や経験の浅い病理医は育たないというデメリットもあります。

 

③これは病理医の研究の為、技術向上の為にいい事とは思いますが、病理医の時間的負担となる。さらには患者側の同意を得なくてはならないが比較的同意は得やすいかと思います。

 

なんせ10万人に1人なもんだから、病理医も軟部肉腫が回ってくる確率が少ないでしょうし、40%の確率で相違が生じているのが現状ですからね。一つの医療機関だけにとどまる事無く、こういった取り組みも未来につながる「医療連携」なんだろうと思います。