昨日、いつも行っている温泉でブラックジャックを読みました。

 




少し前に1巻だけ読んで、昨日はここは6巻までおいていますが、実際には5巻まで読みました。

 

確かブラックジャックを最後に読んだのは医学部2年生くらいで、あの時は病気や専門用語のことも全く分からず、何となく難しい内容なのかなあと思って読んでいました。

 

その中でもとても印象的だった内容が多く、今でも多くの話しは覚えています。

 

改めて読んでみて、まず医学的な点については、いざ医者になって見てみると、当然のことながら突っ込みどころ満載ではありますが、それに関しては完全にフィクションと割り切って楽しむべきものだと思います。

 

ただ、実際には読んでみると、とても面白いです。

 

ブラックジャックの設定は無免許で高額の手術料を請求し、チーム医療や医療倫理を無視したとんでもない医者のような設定です。

 

でも読んでみると、そういう極端な医師像を表現することで、医療のみならず社会の問題点などを浮き彫りにしたり、非常に巧みなストーリーになっています。

 

そしてブラックジャックの各ストーリーに共通するのは、途中のストーリーは登場人物が唐突に事故って、そこからいきなり移植術が始まったりと、かなり強引でハチャメチャな内容ですが、最後の1ページ、特に最後の1コマが非常に秀逸であることです。

 

多分、大まかなストーリーとネタにする疾患を決めて、最後の終わり方に全力を注いで、そこまで決まったらそこからは超展開であろうと関係なしに話しを作り上げるというような感じだったように思います。

 

いずれにしても、手塚治虫のセンスは本当に素晴らしいものだと思います。

 

 

そんな中で読んで感じたことは、医者は病気を治すだけでなく、「人を救う仕事」だと改めて実感しました。

 

ブラックジャックは凄い手術を成功させて患者さんを治すのですが、話し自体は治して終わりではなく、その後様々な形で患者さんが救われます。

 

それは患者さんだけでなく、家族であったりすることも多いです。

 

また時としてそれは社会だったりもします。

 

中には患者さんは残念ながら亡くなってしまったが、移植術によりレシピエントの身体の一部となり、それがレシピエントだけでなくドナーの家族の心を救うような話しもあります。

 

フィクションであっても、ブラックジャックを読むと、医者は「人を救う仕事」だということがよく分かりました。

 

 

私達はもちろん患者さんの幸せを願って治療を行っています。

 

ただ、そうはいっても診療に対して向き合うのは病気そのものとなってしまいます。

 

病気を診ずして病人を診よというのはもはや当たり前のことではあり、当然医者であればそうあるべきだと本当は分かっていつつも、では病気を治療することにより患者さんや家族にどのような未来が待っているか、また治療がうまくいかなかったらどういう未来が待っているか、そこまで具体的に想像しながら診療を行っているかというと、正直不十分だったのではないかと思っています。

 

思い返してみると、助からない可能性が高かった患者さんを救うことが出来、その後何気なく外来に通院している中に、例えば旅行に行ってきたとか、そういう話しを聞くととても嬉しいのです。

 

医者は人を救う仕事であり、人を救うということはどういうことかということを忘れずに、今後も診療していきたいと思います。